前半のターニングポイントである第16話「東京上空」では、敵の女騎士ガラリアさんの乗るバストールと激しく戦う中、オーラロードが開かれて、地上(現実世界)へ出てしまいます。
そこまでは以前のエントリ「なぜショウ・ザマはバイストン・ウェルで眠ってしまったのか」でも紹介しましたが、今回の問題はその後です。
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なぜガラリアはバイストン・ウェルに帰還できなかったのか?
両親と決別したショウは、敵であるガラリアと協力して、バイストン・ウェルに帰ろうとします。(第18話「閃光のガラリア」)
バイストン・ウェルをイメージし、強く帰りたいと願いながらオーラ力を高めて、オーラロードを開くのです。
それは寸前まで成功しました。
しかし、あと少しというところで、ガラリアがバストールごと爆散してしまいます。
パートナーを失ったことで、ショウもバイストン・ウェルに帰還することができませんでした。作戦は失敗したのです。
この失敗は、オーラの暴走、オーラ力の負荷にガラリア(とバストール)が耐え切れなかったため、となっていますが、オーラや精神がここまで影響する世界観で、物理現象的な表面の出来事だけが要因とは考えにくいと昔から思っています。
問題は、チャムが作戦実行前に言った「バイストン・ウェルに帰りたいと強く願うのよ!」というセリフ。
ガラリアは本当に(故郷である)バイストン・ウェルに帰りたかったんでしょうか。
ガラリアが閃光に消えたのは、彼女自身がバイストン・ウェルに帰りたいと、心の底から思っていなかったからじゃないのか。
そもそもオーラロードを通って異世界へ行けるかどうかについて、そこを通る人間のキャラクター(人格)が影響しているものなんでしょうか?
その話をするには、まずは主人公ショウ・ザマをはじめとして、地上(現実世界)からバイストン・ウェルに召還された人々のことを考えてみるのがいいですね。
なぜならガラリアさんのケースはきわめて例外であり、地上の人々がバイストン・ウェルからの召還に応じて、オーラロードを通るパターンが基本だからです。
そもそも、地球に何十億人といる人間の中から選ばれて、異世界バイストン・ウェルへ来てしまった人々とは、どのような人達なんでしょうか。
TVアニメ『聖戦士ダンバイン』に登場した"地上人(召還された人)"たちを見ながら、その傾向を探っていきましょう。
それでは、地上人の皆さんの劇的ビフォーアフターをご覧ください。
地上人 劇的ビフォーアフター
召還された地上人が元々どのような人で、召還されてからどう変わったのか。
■ショット・ウェポン
before(召還前)
天才なのにオーストラリアで苦渋の生活をしていた。奴隷のように肉体労働もしていた。天才なのに。
after(召還後)
思う存分才能を奮ってオーラーバトラーを開発。後半にはオーラバトラーの力を地上にも見せつける。
■ショウ・ザマ
before(召還前)
両親は仕事に夢中。いいとこのボンボンだが夢中になれるものがない。
after(召還後)
自分を必要としてくれる人達のために戦う。
■トッド
before(召還前)
マザコンアメリカ軍人。東部の落ちこぼれ。
after(召還後)
アメリカを手に入れてママと暮らす(夢だったけど)
■トカマク
before(召還前)
ソ連領(現在のウクライナ領)のハリコフに住む失業者だった。(wikipediaより。※初めて知った)
after(召還後)
"聖戦士"に再就職。すぐ死んだけど、失業者のままでは死ななかったよ!
■ジェリル
before(召還前)
崩壊した家庭に育ったロックシンガー。ダブリンの鼻つまみ者(本人談)
after(召還後)
新世紀のジャンヌ・ダルクとして活躍
■アレン
before(召還前)
冷戦下のアメリカ軍人
after(召還後)
コンピューターゲームでない本当の戦争ができたと喜ぶ
■フェイ・チェンカ
before(召還前)
売れない俳優
after(召還後)
売れない聖戦士。「俺はフェイ・チェンカなんだぜ?」知らんよ。でも売れない俳優では一生できないロボットに乗ったヒーロー役が出来て良かったね。
なんということでしょう。
あの角度がきつかったコクピットへの階段を巨獣の甲殻を利用したゆるやかなものにすることで、腰の悪いおばあちゃんも楽々オーラーバトラーの乗り降りができるようになったではありま……。
なんということでしょう。
皆さん、現実では何かと問題を抱えていたのですが、異世界に行ったことで、皆それなりに自己実現、問題解決ができているではありませんか。
聖戦士の召還は、決して呼ぶほうからの一方的なものではなく、呼ばれた側にもそれなりの利益が生まれるものだと考えてもいいかも知れません。
つまり異世界で活躍する素地がある=召還条件が揃っている人こそが、召還されやすいのではないか。
オーラロードを通る人によくある傾向
・現実世界では恵まれていない境遇の人が多い
・ストレスや鬱屈を溜め込んでいる
・何らかの技能、才能はあるが、それを現実で生かせていない
・妻帯者、恋人持ちで連れて来られた人がいない(小説「ガーゼィの翼」の主人公は恋人がいたけども)
・好戦的、または戦いを受け入れることができる人物が多い(平和主義者を召還しても意味が無い)
・生きづらい、または自分を認めないくそったれな世の中にあまり未練がない(誰も地上へ帰りたがらないし、浮上後も地上側へつかない)
傾向を見て分かるとおり、現状の生活(リアル)に満足している人、つまり最近で言ういわゆる"リア充"な人は、バイストン・ウェルには呼ばれていません。
例えば「仕事も慣れてきてやりがいを感じているし、趣味で出来た友達も多い。可愛い妻ともうまくいっている。何より最近子供が生まれて、毎日の生活が充実してます!(満面の笑顔)」
このような人はバイストン・ウェルには呼ばれません。「ここではないどこか」へ行く理由が全く無いからです。
聖戦士になりたい人は、決してこんな風になってはいけませんよ!
富野監督は「人は誰でもバイストン・ウェルに呼ばれる可能性がある」と言っていましたが、満足した人生を送っている人はごくまれで、全ての人間は何らかの不満やストレスを抱えながら生きているのですから、それは当然なのです。
もちろん(大変喜ばしいことに)私も立派な聖戦士候補です。呼ばれる資格があります。
しかし(大変残念なことに)私は召還されないだろうな、と思ってしまうのは、召還条件の一部しか満たしていない、と思うからです。
つまり、エネルギーがない。バイタリティがない。技能も才能もない。生まれたてのインパラのような草食動物である。などなど、実際に呼ばれるだけの"何か"が無いと思うからです。
やっぱり、召還に選ばれた人間は、それがプラスにしろマイナスにしろ、何らかの強いエネルギーを持っているんだろうな、と感じるのです。(そういうのもオーラ力の強さなのかな)
リアルが充実してないだけではダメ。やっぱり何かプラスアルファは要る。
バイストン・ウェルの人は、そういった現実に不満を持ち、鬱屈してエネルギーを溜め込んでいる人間を召還し、自己実現のステージ(場)を与えている。
その結果、地上人はいきいきと自己実現できてハッピー、バイストン・ウェル側も、技術やオーラ力の強い聖戦士が得られてハッピーのwin-win関係が生まれる。
地上人の召還には、根本的にそういうしくみがあるんじゃないかな。あった方が面白いな、ということです。
(※この辺り、小説には色々書いてあるんじゃないかなあ、と思うのですが、ガーゼィしか読んでないので分かりません。ここはあくまでTVアニメ版のみを材料に考えておきます)
聖戦士の召還は一方的かつ唐突なものですが、もしショウら地上人のもとに、バイストン・ウェルからの使者が現れて、
「あなたを聖戦士待遇でお迎えします。条件はこう、待遇はこう、お仕事はこう、あと基本的に地上へは戻れません。どうされますか?」
と、事前に丁寧な説明をされた上で、現実を選ぶか、異世界を選ぶかを迫られたら、どうなったでしょう?
私は、それでもほぼ全てが契約書にサインしたんじゃないかと考えます。面白くない現実を蹴って、本当の自分が生きる場所を求めたのではないかと。
そういう現実感の薄い危なっかしいところも共通の性質としてあるような気がします。神隠しに遭いやすい体質というか、現実にきっちり根をはっていないというか。
聖戦士たちは、現実(地上)を捨てるだけの理由がそれなりにあったからこそ、オーラロードを通って、全く別の世界へやってこれたのではないか、ということをちょっと覚えておいてください。
閃光の中でガラリアは何を思ったのか
ここで、ガラリアさんの話に戻りましょう。
ガラリアさんは、なぜ故郷であるバイストン・ウェルに帰れなかったのか。
それを知るには、ガラリアさんがどういう人なのかを知る必要があります。wikipediaの記述を引用してみます。
ガラリア・ニャムヒー
ドレイク配下の女騎士。裏切り者の娘として育ったため、人一倍名誉欲が強く、バーンをライバル視していた。
ガラリアさんは、敵前逃亡した父を持ち、それを理由に幼いころからいじめられたり冷たい仕打ちを受けたりしてきたようです。
その経緯もあって、ガラリアさん本人は女性ながら勇敢であり、名誉欲、功名心が強く、戦で大功をたてることを目指していますが、ライバルのバーンには与えられたオーラバトラーも自分には与えられず、悔しい思いをしていました。
そんなガラリアさんがついに待望である新型オーラバトラー、バストールを手に入れて、ショウを討とうとがんばっているところで、オーラロードが開いてしまいました。
地上に出たガラリアさんはそれでも執拗にショウを追うのですが、慣れない地上で自衛隊につきまとわれたり、食料がないので山へ行楽に来ていた老夫婦のお弁当を盗んで猟犬に追われたり、みじめな目にもあいます。
最終的には冒頭で述べたとおり、両親(地上)を捨てたショウと協力して、バイストン・ウェルへ帰還することになるのですが、これは寸前で失敗します。
ショウは生き残り、ガラリアだけが爆死した、この失敗について、wikipediaにはこう書かれています。
AB・バストールに乗ってショウと交戦した際、共に東京上空に出てしまう。ショウと協力してバイストン・ウェルに帰還しようとするが、自らのオーラ力がショウよりも弱かったために、オーラロードを抜ける寸前で爆死する。
実際フィルム上でも特別な描写がないので、単に「オーラ力がショウよりも弱かった」からで終わらせてもいいんですが、それではちょっと物語的に面白くないというか、豊かではないと思います。
前フリしまくった「オーラロードを通る人によくある傾向」を、ガラリアさんにも適用できないでしょうか。
ガラリアさんの場合、立場が逆になりますので異世界バイストン・ウェルこそが彼女の現実となります。
ガラリアさんの現実
・「敵前逃亡した騎士の娘」でずっといじめられてきた。
・バーンより自分が劣っているとは思わないのに、自分にはオーラバトラーが与えられない。
・「敵前逃亡した騎士の娘」というレッテルは一生消えないのか。
・自分が女だから、というのも理由の一つなのかも知れない。
・能力に自信はある。だが自分の責任とは関係のない理由で不遇だ。
これは完全に、ショウや召還された地上人の逆パターンといってよいと思います。
ショウ達の場合、地上ライフが充実していませんでしたが、ガラリアの場合、バイストン・ウェルライフが充実していません。
ガラリア「私はバーンにも負けていない!なのになぜ?"敵前逃亡した騎士の娘"なのは私の責任じゃない。一体どうすればいいというんだ!」
―――あなたは世界を革命するしかないでしょう。あなたが進むべき道は用意してあります。
ということで、ガラリアさんがバイストン・ウェルの誰よりも先駆けて世界を脱出する人間に選ばれたのにはそれなりの理由があるように思えます。
もちろん「東京上空」のシチュエーションはシリーズ構成上のもので、ガラリアさんのために用意されたものではありません。
ただ、ショウと共に地上へ出るパートナーとして、他の誰でもなくガラリアさんが選ばれたのは妥当に思える。そういう話です。
さて、行きはよいよい、帰りは怖い。問題はバイストン・ウェルへの帰還時です。
地上人のショウが、両親と決別して地上への未練を断ち、バイストン・ウェルでしか生きられないような立場になっていたのに対し、ガラリアさんは果たして本当に心の底の底から帰還することを望んでいたのでしょうか。
もちろんたった1人、地上にいても仕方ないんですよ。ですから帰ろうと思ったし、思ったからオーラロードは一時的には開いた。ではなぜそこまでいって通り抜けることができなかったのか。
本当に「オーラ力がショウよりも弱かった」だけなのか。
実際のところ、どうだったのかは良く分かりません。フィルム上でのセリフや描写でフォローされているわけではないので何ともいえないのです。
もし、ガラリアが死んだ理由にこういうバックグラウンドがあるのだとしたら、老夫婦のお弁当を強奪するシーンを、親切にお弁当分けてもらう優しい触れ合いのシーンとしたり、または、ガラリアの事を誰も知らない地上で「敵前逃亡した騎士の娘」から解放されたようなシーンがあると、オーラロードを開いた時にバイストン・ウェル帰還への「ブレーキ(余分なノイズ)」になって、爆散がよりせつなくなっていいかも知れません。
地上でふれた優しさ、開放感が、かえって帰還時にブレーキをかけてしまうなんて、という具合に。
さらに展開を大きくを変えるならば、地上でガラリア1人というのがあまりにきついので、これを変えましょう。地上人ゼット・ライトかなんかと一緒に地上に出て、ゼットの故郷へ一緒に行くかと言われて、心が動くけど騎士として踏みとどまって断る、みたいな回があっても面白いかも知れません。
「敵前逃亡した騎士の娘とは誰も知らない世界で、女として生きてもいいかも知れない………」いや、ダメだ。と振り切ってバストールへ乗り込むような(もちろん、これも「ブレーキ」になる)
こんなことやると完全にガラリア回にしかならないので、地上でのショウと両親のドラマがボケる。
でも結果的に見るならば、後半の回をいくつか削ってもいいから、こういうエピソードの話数を増やして欲しかったなあと思いますね。
(たぶん今なら出来るけど、ダンバイン当時ではダメだったんでしょうね。なんせ後半の単なる戦争ロボットアニメ展開こそ、軌道修正した結果なのだから)
残されたいくつかの問題
オーラロードを通ることについて、地上→バイストン・ウェル、バイストン・ウェル→地上の2つのパターンを材料に、ここまで書いてきましたけど、正直いうと、あんまりこの要素はTVアニメ『聖戦士ダンバイン』本編では色濃く出ていません。
それどころか、この考え方を軸にして見ていくと、いくつか引っかかる描写があるのです。
■ガラリア死後のショウの帰還
パートナーのガラリアが死んで、もうバイストン・ウェルに帰れないと絶望するショウなんですが、その次の回である第19話「聖戦士ショウ」で、あっさり帰還します。
これはショウというより、エレ・ハンムの霊力すごいね、という描写なんですが、尺の都合もあったのか、とにかくあっという間に帰還する。本当にお気軽に。スナック感覚で帰ります。ガラリアさんのことを考えると阿藤快みたいな気持ちになります。
■ショウの再浮上時の出現場所
2回目の浮上で、再び地上に出たショウが出現したのが、吉祥寺の実家だったのです。
マーベル、トッドなど初めて浮上した人達が自分の故郷に出現するのは分かるが、ショウは「東京上空」で出現時にすでに両親と決別をした身。
地上人はどうしてもなじみがある場所に出てしまうのだとするなら、せめて吉祥寺以外の日本のどこか、ということにした方が良かったのではないか。
その方が両親と決別し、地上に帰る家がない(もうショウにはバイストン・ウェルしかない)ことが良く演出できたように思います。
もちろん、ショウがああいうキャラクターで終わってしまっただけに、両親を捨てたくせに実家にまた舞い戻ってしまうような中途半端な主人公なのだからこれでいいのだ、とは言えてしまうのだけれど。
(でも、そういうショウが出来上がってしまったのは、こういう場面場面の積み重ねの結果だと思うんだけどね)
そして最大の問題があります。
勘のいい人ならすでにお気づきとは思いますが、「地上人 劇的ビフォーアフター」リストに名前が無い地上人がいます。私が意図的にはずしました。
もちろんそれは、セクシー眉毛のいい女、マーベル・フローズンです。
マーベルはなぜバイストン・ウェルに来たのか
マーベルだけは、私がここまで書いた地上人の召還条件にまるで一致しない。
彼女の人格に現実世界での歪みは感じ取れない。バイストン・ウェルに来る理由が分からないし、何のモチベーションで戦えばいいのか分からない。
マーベルを呼んだのが、どの勢力にも属していなかったフェラリオ、ナックル・ビーであったことも考慮に入れてもいいと思うけど、それでもどのみちナックル・ビーの召還に彼女が応えた理由が分からない。
浮上後に登場したマーベルの両親も娘を信じるいい親のようであったし、愛に飢えているようにも見えないし。あのまま現実に生きていっても、うまくやっていたタイプに見えるけどね。
いくつか想像で考えられないこともないけど、それこそ単なる憶測や妄想にしかならない。フィルム上の手がかりが無いと思う。
(もしマーベルが召還された状況や理由など詳細をご存知の方がいましたら、教えていただけるとありがたいです)
まあマーベルは『マトリックス』のトリニティみたいなもので、「ヒーローの導き手」だと思うので、その役割が強いんでしょうね。導き手が歪んでいてはいけないし。あとは、ショウよりかなり早くバイストン・ウェルに来ていることは何かのヒントになっているかも知れないね。マーベルは、ターンAのロラン・セアックと同じと思えばいい。
というわけで、長々と語りましたが、『聖戦士ダンバイン』全体を通してみると、この考え方はいくつか問題をはらんではいます。でも、地上人の召還条件とガラリアの爆散については、そういうことにした方が作品がより興味深いものになると思っているのですがどうでしょうか。
チャム・ファウがまだその辺りを飛んでいるのなら、つかまえて聞いてみたいところです。
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Re: 【聖戦士急募】バイストン・ウェルで君の夢をかなえよう! <ダンバイン第18話「閃光のガラリア」より>
ガラリアの爆死は、私はずっと「ついていけなかった人」としか見ていませんでしたが、こういうコモン人の地上→バイストン・ウェルの逆パターンについては、考えてみませんでした(というか、サンプルは一人しか居ませんが)。
地上人が何故召喚されるのかについては、私もおおむねTOMMYさんと同じ考えですが、召喚された人は現世で満たされてない、あるいは不満を持っているクセに、やはり何か未練を持ってる者が多いですよね。なので、『ガーゼィ』のクリス(この御仁のケースも誠に奇妙ですが)以外は、一旦地上に戻ると、自分がBWで獲得した何かを持って、自分の本懐を満たそうとする人も多いです。『ダンバイン』はもちろん、小説とアニメの『リーンの翼』もそうです。結局、中途半端ですが、比較的に自分のエゴに囚われていないショウは、やはり一番聖戦士に近い地上人だと思います。
「バイストンウェルは魂のマスカレイド」。そして、真の聖戦士とは人のあり方を見つけて、ソレを人に示す者。この二つは、もしかしたら関係があるかもしれません。
それと、ここには囚人022さんと私がまとめたダンバインについての富野発言がありますが、もしご興味あれば是非一読を。もしかしたらご参考になれるかもしれません。
http://tomino.g.hatena.ne.jp/keyword/%e8%81%96%e6%88%a6%e5%a3%ab%e3%83%80%e3%83%b3%e3%83%90%e3%82%a4%e3%83%b3
Re: 【聖戦士急募】バイストン・ウェルで君の夢をかなえよう! <ダンバイン第18話「閃光のガラリア」より>
私も富野作品を愛するはしくれ。kaito2198さんのサイトはいつも拝見しております。
ガラリアについては仰る通りサンプルが1人しかいないのですが、こう考えた方が召還の筋も通るし、テーマ的にも補完できるように思います。
> 召喚された人は現世で満たされてない、あるいは不満を持っているクセに、やはり何か未練を持ってる者が多いですよね。
> 一旦地上に戻ると、自分がBWで獲得した何かを持って、自分の本懐を満たそうとする人も多いです。
個々の地上人の「お話」は、日常(地上)→異界(BW)での通過儀礼を受けて変化→日常(地上)に帰ってくる、という「行きて帰りし物語」になっていると思います。
BWで何かを得た人々が、今までとは違う自分として地上に戻ったとき、その行動が単なるエゴそのものだったのは悲しいことでした。
実は次の記事のネタにしようかどうしようか迷っていたのですが、その意味でショウの「行きて帰りし物語」だけが違うと考えています。
> 比較的に自分のエゴに囚われていないショウは、やはり一番聖戦士に近い地上人だと思います。
ショウだけは、地上→BW→地上ではなく、バイストン・ウェル→地上(で大人になる)→バイストン・ウェルという構造を持つ(はず)ではないかと。
つまり、ショウだけは地上で何かを獲得し、それを持ってバイストン・ウェルへ帰るというお話を持っている(はず)なんじゃないでしょうか。
それがkaito2198さんの言う、一番聖戦士に近い存在というのにつながるんじゃないかな、と思っています。
ただ、それをするにはバイストン・ウェルとショウの結びつきが弱すぎるので、ショウがもっとバイストン・ウェルという世界そのものを愛すか、それができないならバイストン・ウェルの女の子をショウが好きになる必要があるようにも思います。
ダンバインの物語はさまざまな事情でねじれてしまってますが、本来の「あるべき物語」があるはず。それが再構成された『オーラバトラー戦記』なのだと思いますが、私は未読なので、あえて読まずに想像をたくましくしているところです。
はてなグループの方もぜひ参考にさせていただこうと思います。ありがとうございます。
今後も富野作品の記事は書いていくつもりですので、また宜しければよろしくお願い致します。
Re: 【聖戦士急募】バイストン・ウェルで君の夢をかなえよう! <ダンバイン第18話「閃光のガラリア」より>
ブログを読んだくださって、ありがとうございます。これからもよろしくお願いします。
kaito2198さんならむしろ光栄です。
と言いますか、この機に乗じて私の方もリンクさせていただきました(笑)。
こちらこそ、これからもよろしくお願い致します。
古い記事にコメント失礼しました。