「FNS27時間テレビ!!みんな笑顔のひょうきん夢列島!!」がすさまじかった。

今年は、三宅恵介定年を受けての明石家さんま司会。
すなわちタイトル通り「オレたちひょうきん族」ベースということで、世代的にドンズバな私としては注目していたので出来る限りがんばって見た。
それに、さすがに27時間テレビのさんま司会は年齢的にもコネクション的にも最後っぽい気がしていたから、生き証人になるために見ました。

面白ポイントは色々あったのだが、なんといっても「さんま in めちゃイケ」。
これを生で見れただけでも、見た価値があった。見てなかった人は生で見れなかったことを後悔しながら、ネットで補完するべき。
とにかく、放送開始から25時間目に起こった奇跡について紹介しよう。

まず見てなかった人のために、そこへ至るまでの流れを説明しておく。

■伝説再び

・「さんま in めちゃイケ」は19:00ごろスタート。
・さんまが裏のTBS「からくりTV」に出演のため、1時間はさんま抜きでもたせることに。
・めちゃイケメンバーで始まり、ネプリーグ終わりのネプチューン、雨上がり決死隊など芸人達が次々と集合。
・ここでペナルティワッキーに巻き込まれる形で、今田耕司登場。
・今田は「さんま in めちゃイケ」終了後の、21:00スタート「列島カーペット」司会のため、楽屋で休憩中。めちゃイケに出演予定は無かったと思われる(ここ重要)。
・20:00 さんま漁解禁。「27時間テレビ 名場面ベスト5」スタート。1位は当然、伝説のレンジローバー破壊ネタ。

ここまでは単に前フリ。

ここで、ビートたけしが別スタジオにいることが明かされ、カメラを移すと、鬼瓦権造がペインティングアートをしている。
問題は何にペンキをぶちまけているか。サイドミラーなどがチラチラうつり、車であることがモロバレ。さんまの車であることは当然の流れ。
ところが車の全景がうつると、ナイナイ岡村が声を上げる。「完全に僕の車です!」爆笑するさんまと一同。
しかし、さらにカメラを引くと、車の上に、岡村の車が載っていることが明かされる。
岡村の車の下敷きになっているのは、もちろん、さんまの車である。しかもボディ全てにペインティング済み。

さんま「だ、誰か、ヤツを止めなさーい!」

さんまと一同は、たけしのいるスタジオに走る。
飛び込むと、たけしは未だにペインティングの真っ最中。
さあ、ゲームの始まりだ!

■25時間目の奇跡

※ここからは動画見たほうがいいので、あえて略す。(動画あれば追加)

なんだかんだで、さんまの車に乗り込むたけし。
スタジオ内で暴走を始める。逃げ惑う芸人達。
そのとき、暴走する車の前に、今田が!
266663.jpg

―――という、感じ。

その後どうなったかって?

簡単にいうと、たけしの乗った(さんまの)車に、今田がひかれました。
(PTAとかには内緒だぜ)

<YouTube動画> (いつまで見れるのか分かりませんが。)

※見直してみたら、今田が一瞬手招きしているようにも見えるな(笑)。
※これの前段階も面白いので見つけたら追加します。

事故ポイントだけでなく、一連の流れのすばらしさに久しぶりに笑い転げましたよ。
ここから先は見てない人には分からないと思うが、何がすごかったか、何が面白かったか挙げていきましょう。

■奇跡前

・何より、久しぶりに「ビートたけし」の暴走を見た。
・「ビートたけし」が芸人として終わっていることは、本人を含め共通見解だと思うのだが、それでもなお画面に映っている彼に我々が何かを期待してしまうのは「こういう事」をする人だと知っているからだ。
・見ていると分かるが、たけしとのペンキの掛け合いのところはグダグダというか、うまく行っていない。
・お笑いウルトラクイズのラストの全員乱闘みたいに「なっていない」。多分、そういうシーンだったと思うのだが。たけし軍団なら想像通りにいったのではないか。でもたけしとからんだことの無い芸人ばかりで誰も前へ出て行かない。
・そんな展開を救おうと前へ出たのが、ホリケン(KY上等)、こじまよしお(周囲に押されて?)、そして今田というのが面白い。
・この一連の流れは、生放送ゆえのぐだぐだ感とそれを阻止しようとする人々の攻防が見れて実に面白い。生ならでは。
・岡村は、今田にたけしが運転している車の窓へ放り込んでもらったのに、何もできず。 ナイナイは大御所とからむのが本当に下手だな。生にも弱いのかも知れない。
・恐らく台本は、車に載ったたけしが車庫入れ(ブロック)のセットに突っ込んで終わる、だったはず(画像を見ると分かる)。だから、たけしの行動は全て打ち合わせ通り。
・ゆえに、それを知っているめちゃイケメンバーはきちんとセット前から逃げる。
・しかし、今田はそんなことを知らない(当然だ。出演予定はなかった)。突っ込むはずのセットの前に立つ。
・たけしは「台本通りの暴走」で、予定通りセットに突っ込んで、結果的に今田をひく。予定ではブロックに突っ込むが、もちろん今田が大ケガするので、そこまでの突っ込みはしない。
・今田はすごいな。逃げなかったが、たけしとアイコンタクトでもあった?完全にやりすぎコージー。やりすぎジーコー(事故)。
・すごいのは、すぐにカメラが倒れた今田をうつしたこと。(そして今田はすぐに足を隠したように見えた。もだえただけか?)※動画見直したら、立ち上がろうとしただけみたい。
・CMに入らなかったのもすごい。てっきり入るのかと思ったが、入らず、今田は元気に立ち上がる。

■奇跡後~エンディング

そしてコーナー終了からエンディングまでがまた素晴らしかった。

・ここまでをノーカットで見せてCM。CM明けは今田司会の「列島カーペット」。たけしにペンキをかけられ、体中真っ青なまま元気に司会をする。
・つとめて明るく振舞う今田。「おいしい思いさせてもらいました」とまで言う。暗いイメージをかけらも見せようとしない。
・同じくペンキをかけられ、真っ赤な(ウソ)の明石家さんま登場。今田と赤青コンビ。
・なんだかんだでエンディング。ひょうきん懺悔室。ここでの懺悔人選は、番組のエピローグとして完璧。「ひょうきんオールスターズ」「今田耕司 」「たけし&さんま&三宅恵介」(予定調和的メンバーの中に、ただ1人飛び込みで今田が入っていることが全てを物語りますね)
・この「今田懺悔」の効果は大きい。今田が全く元気なことを最後に視聴者に印象づけると同時に、MVP今田に晴れ舞台をつくる。アドリブ展開だろうがすばらしい。
・最後の最後に「ひょうきん族」のオープニング曲「ウイリアムテル序曲」がかかり、しっちゃかめっちゃかになって、笑顔のさんまのアップできれいに終了。

以上。

冒頭に言った通り「ひょうきん族」ドンズバ世代なんですが、ひょうきん芸を21世紀に見てもしゃあないことは分かってるんですよね。
確かになつかしキャラクターなんかは見ても仕方ないんですが、やっぱり、こういう場面でのたけし、さんまの立ち回りは本当にすさまじい。
これで最後だと思って見たけど、さんまがまた司会をやらない保証は全くないな!(笑)

あとは、ダウンタウン、たけし、さんま、全てと番組をやってきた今田耕司のすさまじさ。
(ただし今田を番組の大将にするより、常に大御所が上にいる若頭の立場でこそ、最大の効果を発揮すると思います)
さんま率いるひょうきんチームとネプリーグをやった後、めちゃイケに合流したネプチューンが「お笑い第四世代落ち着くわー」としみじみ言ってたのが象徴的だけど、雨上がりにしろ、ナイナイにしろ、基本的には同世代じゃないとダメなんだよね。
同世代で上下関係の幅がほとんど無く、ネタのバックボーンが同じで、空気の読み方が同じでないとできない。
それを破壊したのが初期のダウンタウンだったし、破壊せず全てに適応するのを選んだのが今田耕司といえるかも知れない。

それにしても、基本的に台本通りのはちゃめちゃ劇とはいえ、見てるほうですら一瞬ひやりとする場面をノーカットで放送し、それが全く事故でも何でもなく、ただ単に面白いだけだった、というのは一種の奇跡だった。

恐らく、全て台本に沿って進めた「予定通りの暴走劇」をそのままやるのが一番安全だったろう。苦情は色々くるのは想像できるから、どうせそれを覚悟でやる企画。ただ安全面だけは問題ないように制作側は配慮をしていたはずだ。
しかし本番当日、出演予定の無い今田はこの場にいてしまったし、それによりハプニングが起き、生放送だから、それが全て放送されてしまった(そして何事もなく無事だった)。
何より、今田のおかげで前後を含めた一連の流れは笑いを増したし、救われた。
乱暴な言い方だが、予定より面白くなって、ケガもないなら、結果オーライだ。
私はそういう意味でこれを許容する。今田本人もあの瞬間の直後に許容したはずだから。
最悪の場面を考えると(その後の世論とテレビ界を考えて)ぞっとするが、今はこのわずかな奇跡を喜び、そして大いに笑いたい。

※追記
あの場面の本当の面白さは、生放送ゆえの「この後、誰がどうするの?」を、現在進行形で見守る楽しさだったと思います。だから冒頭で言ったようにリアルタイムでないと本当のドキドキが味わえない。
多分、リアルタイム視聴した人は、最近のショートネタ見せ番組に象徴されるような「いいから、てっとりばやく面白いの見せてくれ」ではなく、ドキュメンタリーというか、集団演劇が進むのを応援するように見てたと思うんですよね。あらすじは大体想像がつくけど、ディティールは分からないアドリブ主体の演劇。
「これ、この後、誰がどうすんの?誰か前へ出て!うまいことつなげて……わー!(今田轢かれる)」
実際、今田が轢かれたあとで、私がまず考えたのは今田の安否でしたが、それは純粋に体の心配だけでは無かったことを正直に告白します。
「ここまでいい場面ができあがったのに、体にさしさわるケガでもしてたら、傷がつく!何事も無かったように立って!そして笑って!」
と、自分が見守った場面が崩壊することこそを何よりも心配しました。
そして、こういう(ある意味狂った)視聴者、スタッフ、演者の気持ちを全て分かっているような、その後の今田耕司のプロフェッショナルな対応に何より感動し、こんな記事を書いているんだよね。

※この場面見たくなりました?なったら私の勝ち。もし他にもネットで名場面の動画見つけたらコメントででも教えてくださるとありがたいです。
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長文スマソ

「つまらん奴は黙ってろ」という方針のダウンタウンの脇で、松本が呼吸をしたわずかな隙間に今田は入っていってどんどん発言権を得ていったからねぇ。
まさにハイエナ芸人、草食芸人ナイナイといると結果的にいつも美味しい所を持っていってる。
新喜劇でボケ芸人の暴走に対応してきたのも強みでしょうね。
岡村はラジオで、さんま=神として自己弁護。
宮迫はラジオでワッキーのダメさを語ってた。萎える。

コメントありがとうございます。

コメントありがとうございます。
今田がすごいな、と思うのは、あくまで飛び入りで自分のコーナーじゃないと分かった上で、岡村を車の窓へ放り込んだり、若手をけしかけたり、「ペンキを体に塗っとけ」と言ったり、あくまでサポート役に徹したところです。
それなのに車に轢かれる瞬間に関しては、段取りが分かっている岡村は早々に逃げ、分かっていないからこそ今田がああいう事になってしまった。
その辺りの、台本通りのバカ騒ぎと台本には無いアクシデントの妙がとても面白かったと思います。
さんま、たけしがまだ何とか元気のうちに、若手芸人は「お!」と思うよな絡みを見せて欲しいところです。

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