「幼年期の終わり」が後世に多大な影響を与えた作品であることは今読んだからこそ実感できる。
その一つがファイブスター物語。というお話。
ファイブスター物語は永野護のマンガ。ロボットアニメである「エルガイム」を母体に、架空歴史や騎士道ロマンスや世界の神話・伝説や戦車や白土三平や音楽やバレエやファッションやカブトムシなど作者の好きなものを何でもぶち込んだ壮大なおとぎ話。
人類進化のSFという部分もそうだが、もっと具体的な部分がある。
それは、悪魔だ。
ファイブスターの悪魔は完全な侵略者であるが、昆虫のような外骨格、高い知性、宇宙人、6本指(オーバーロードは7本指だが)など共通点が多く、僕は幼年期の終わりのオーバーロードを完全にファイブスターの悪魔のイメージで読んでいた。
またオーバーロードの地球総督カレルレンの名はカレンの幼名「カレ・カ=ルル=レル=カレン」に影響を与えているかも知れない。
そして何より、10年以上昔の事だが、ファイブスターの設定資料には、悪魔のことを「ライフ・ウォッチング・オーバーロード」と紹介していた事。
当時はピンと来ていなかったが、今考えれば、ファイブスターの悪魔がオーバーロードを継ぐ者であるのは明らかだ。
それにしてもライフ・ウォッチング・オーバーロードという表現は素晴らしい。
幼年期の終わりのオーバーロードは、知的生命体の進化を手助けする役目につき、人類以外にも数多くの進化に立ち会ってきた。
しかしオーバーロード自身は高い文明を持つものの高次元への進化をしていない。いやできない。
彼らは進化の袋小路に入っており、これ以上の進化は望めないのだ。ただ他の生命体の進化に立ち会うのみ。
だからオーバーロードは自分達より低い文明である人類をうらやましくも思っているのだ。
かといって人類も進化したくてするわけじゃないんだけどね。
ファイブスター物語好きな人には、幼年期の終わりおすすめ。っていうか、原作が全く進行しないので、小説でも読まないとやってられないよ。ということで。
休載期の終わりはいつなんでしょうね。
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