
”生きて中原を再び踏めるかはすべて運まかせ・・・
俺たちゃ神様と手をきって、地獄の悪魔と握手した。
命しらずの黄巾軍討伐部隊”
【 エリア3594 (エリア三国志) 】
”ここは地獄の一丁目・・・”
<登場人物紹介>
■サキ=孔明
サキは当然、孔明。グラサン孔明。
グラサンでしかも孔明のトレードマークである羽扇を持ってて欲しい。だってほら、アスランは暑いからさ。
はっきりいって出撃前のブリーフィングをする孔明を見たいだけ。
それ以外のキャストを考えると、まず桃園の3人。
■風間真=劉備
■ミッキー・サイモン=関羽
■グレッグ・ゲイツ=張飛
グレッグ=張飛はいいな。最後に少年兵に撃たれるところも含めて、最高に張飛だ。
王族の末裔であることを考えると、劉備こそサキかも知れないけど、サキのルックスは全然孔明にした方が面白いのでやめだ。
■神崎悟=曹操
シンが劉備なら、神崎は曹操にするしかないな。
劉備は、親友曹操の計略にはまり、エリア3594で戦うことを余儀なくされるわけだ。
■セラ=関平
紅一点パイロットだけど、ミッキーが関羽な以上、一緒に死ぬセラは関平にするしかない。もういいよ。関平にお色気を担当してもらおうよ。
■マッコイ爺さん
わー、誰にしよう。最初に旗揚げした時に劉備たちに投資した人かなあ。それとも爺いというだけで左慈にしようか。
あとはまあ適当に。原作が手許にないので忘れたよ。
■あらすじ
親友曹操にだまされてエリア3594で、戦うことになった劉備は、F14の関羽、サンダーボルトの張飛と生まれた時は違えど、死ぬときは一緒と義兄弟の契りを結ぶ。
エリア3594の司令官孔明・ヴァシュタールの作戦指揮のもと、今日も黄巾族やら呂布やらと戦うのだ。
■主なイベント(※随時追加)
・孔明の旧友ほう統が入隊。だが間もなく待ち伏せを受けて全身に銃弾を浴びて死ぬ。
・南蛮王孟獲の戦闘機を7回撃墜し7回釈放。
・曹操「孔明もまだまだ甘いのう。わしならばこの辺りに兵を伏せておくものを」ジャーン!ジャーン!(銅鑼の音)「アスランの戦闘機部隊です」「ゲーッ!」×3。だが最後に待ち伏せていたF14の関羽は、曹操を逃がしてしまう。
あー、ダメだ。三国志側覚えてても、エリア88側忘れてるわ。
コンセプト説明だけで終わってたので、もうちょいゲームっぽく考えてみよう。
推理ミステリーゲーム。
前提というかスタート位置はここ↓。
(1)連続殺人の発生は決まっている(設定、シナリオ)
(2)犯人も探偵も誰かは決まっていない(ゲーム展開次第)
(3)最終的に探偵が指名した人物が犯人
以上、3つのルールを使おう。
3つのルールを眺めると、手っ取り早く面白くできる方法に気づく。ちょっとルールを単純化してみよう。
(1)連続殺人の発生=殺人発生をひと区切りとして進行。
(2)犯人、探偵の不確定=参加者の身分は平等。
(3)指名されたら犯人=敗者(勝者)の決定。
ゲーム中は平等で、どうなるかは展開次第。
それによって勝者と敗者が決まる。
と、くれば、これはもう多人数対戦ゲームにするしかない。
みんなでわいわいやって、犯人と探偵を決めよう。
しかも今回はコンピューターゲームでなく、トランプや人生ゲームのように実際に集まってカードやボードで遊ぶパーティーゲームを想定して考えてみる。
「多人数対戦推理ミステリーゲーム」というわけです。
■基本設定
・「山荘で男女がいて、連続殺人」は一緒。
・ゲームは4日間。
・一日の夜ごとに殺人が起こる。
・殺人は3日まで続き(3名死亡)、4日の朝解決。
■プレイヤー
・プレイヤーは、山荘に居合わせた男女の一人を担当。
・死なないようにしつつ「犯人役(トランプのジョーカー)」を押し付け合い、あわよくば探偵役となって事件を解決する。
■勝敗
・死んだらゲームオーバー。
・犯人にされたら敗者。
・探偵になれば勝者。
■ゲームの流れ
基本的にカードゲーム。山荘の間取り図をボードとする。
カードを引いたり出したりしながら進める。
ボードの上に自分のコマを置き、どの部屋にいるのかをはっきりさせる。
■3つのメーター
ゲーム上、プレイヤーは3つのパラメーターを持つ。
「死亡メーター」
・これが増えるほど「死」に近づく
・一日が終わると、これが一番多いプレイヤーが犠牲となる。
・自分でカードを引いたり、他人にカードを出されたりして上がってしまう。
「探偵メーター」
・これが高いほど、最終日の探偵になれる。
・最終日になった時、この値が一番高いプレイヤーが探偵となり犯人を告げるヒーローの役目を果たす。
・事件解決に貢献した発見、行動などで上がる。活躍度。
「犯人メーター」
・これが増えるほど最終日の犯人に近づく。容疑者度。
・最終日になった時、この値が一番高いプレイヤーが犯人となる。
・自分でカードを引いたり、他人にカードを出されたりして上がってしまう。
※ここの値は本当はクローズド(本人以外見ない)の方が楽しそうだけどな。
この3つのパラメーターの上下がゲームのポイント。
■ゲーム進行
一日目の行動をする
・山荘内を移動したり、部屋の中を探したり。
・カードを引く。手がかりが見つかる。イベントが起こる。
・他のプレイヤーの妨害をする。犯人度を上げる。
・例えば「事件発生時刻に○○が部屋にいなかった」カードを他のプレイヤーに出す。
プレーヤーA:「そういえば午前2時頃、Bさんが部屋を出るのを見たわ」
周りはBさんを疑うので、犯人度が2上昇。
みたいな感じ。
・死亡度が上がる。
カードを引いたり出されたりして死亡度が上がる。
例えば「子供が出来た○○さん」のカードを引いてしまう。
プレーヤーC:「そういや私、子供ができたんですよ。実はもうすぐ予定日なんです。男の子かな?女の子かな?」
Cさんの死亡度が3上がる。
・探偵度が上がる。
カードを引いたら、大変な秘密を知ってしまったようだ。
プレーヤーD:「この古い日記は…。?!そうか、だからあの時、あの人が…」
Dさんの探偵度が5上がる。死亡度が3上がる。
※知らなくていい秘密を知ると消される可能性も上がる。
一日が終わる。
次の日の朝、死亡度が高かったプレイヤーが残虐に殺される。
二日目が始まる…。
三日目が始まる…。
四日目が始まる…。
四日目に生き残った人はホールに集合する。
■ゲームの解決
・探偵役の決定
ここまでで一番探偵度の高いプレーヤーが探偵役となる。
プレーヤーA;「皆さん、お集まりいただきありがとうございます」
他のプレーヤーは、負けを認めつつ
プレーヤーB:「Aさん、一体これはなんのマネですの?」
プレーヤーC:「・・・・」
とか、その他大勢、もしくは犯人を気取りましょう。
プレーヤーA;「お集まりいただいたのは他でもありません。…犯人はこの中にいます!」
・犯人の決定
ここで探偵役は、犯人度が高い人物の名前を呼びます。
プレーヤーA:「犯人はあなたです。Dさん!」
犯人(敗者)役となってしまった人は、
プレーヤーD:「…ふふ、くく、はははは!」
プレーヤーD:「何をバカな。バカバカしい!」
など、お気に入りの犯人役を気取りましょう。
ここから探偵役の謎解きです。
ディティールはどうでもいいので、なんでこの人が犯人となったのか適当にしゃべりましょう。一番気持ちいいとこです。
犯人役は動機を語らねばなりません。
プレーヤーD:「私は、父のカタキがうちたかった」
とか適当に事件の幕を引きましょう。犯人役が一番おいしいところです。
で、おもむろに「聖母達のララバイ」をかけて、ゲーム終了です。
■本当の敗者
なんかしゃべくり倒してますが、それでいいと考えています。
ゲームなんてしゃべくり倒すための元ネタ。小堺一機のサイコロと一緒できっかけみたいなもんです。そこから面白話、面白ワードが出てきたらそれでいいんです。
カードとカードの間、事件の全貌はプレイヤー全員で補完するのです。
・探偵役はおいしい。でも犯人役もおいしい。
犯人役は敗者ということになって、罰ゲームのように事件動機をしゃべらされますが、事件の主役は間違いな犯人であって、おいしい役どころです。
正直、このゲームでは、最終日まで生き残ったが犯人にも探偵にもなれなかった人こそが敗者のようなものです。
それぐらいなら死んだ方が良かった。子供に会えない新婚パパ役の方が良かった。そう思えるゲームにすべきでしょうね。
■ゲームマスターを入れる
本当は、もっとゲーム中も会話を入れていくとより楽しめると思います。
プレーヤーA:「そういえば午前2時頃、Bさんが部屋を出るのを見たわ」
となった時に、
プレーヤーB:「確かに私は寝付けずに起きて、台所にブランデーを取りに行きました。それだけです」
とか、何とか実際に言い訳するともっと楽しいゲームになります。言い訳がすっと出ないと怪しいわけです。
ただし、これやろうとすると言い訳をジャッジするゲームマスター(司会進行役)が必要になりますけどね。
ゲームマスター:「今のBさんの言い訳は特にあやしいところはないね(犯人度上昇なし)」
さらにゲームマスターをありで考えると、プレイヤー全員の犯人度は全てマスターが管理することが出来ます。
そうなるとプレイヤー達は誰も本当の犯人を知らないことになり、スリリングになります。
最終日、探偵が決まったあとで、ゲームマスターがこっそりと犯人名を探偵に教えて、探偵の口から犯人が呼ばれるわけです。
(実際のミステリドラマと同じシチュエーションですね)
面白いのは探偵度、犯人度共に最も高かった時。つまり探偵なのに自分の名前を言わなければいけないパターン。「犯人は俺」パターンです。
これは探偵に見せかけつつ、結局自分の犯行を白状することになります。ポートピア並の難易度です。
■まとめ
以上のような感じ。
思いつくままに書いたので、まとまりが悪くてすいません。
パーティゲームとして考えたのは、それが一番楽しそうだからというだけであって、これを基本としてコンピューターゲームで対戦しても、それはそれで楽しいものになると思います。ゲーム性は変わるでしょうが。
もちろん全然詰めは足らないのですが、この辺りにしときます。
何となく雰囲気は伝わったかな?伝わってるといいけど。
で、当時(7年前ぐらい?)友人達と考えていた。
「なぜゲームの中で俺達(プレイヤー)はかっこよくできないのか?」
ゲームでは、プレイヤーは大抵「勇者」や「統治者」や「モテモテ高校生」や「最新鋭戦闘機」などの主人公になります。
しかしゲーム世界の物語では主人公でありながら、どうもカッコよくない。
(1)すぐ死ぬ。戦い方自体がかっこよくない。
アクションやシューティングなどの場合。
死=ゲームオーバーなわけですが、ゲームの下手な私たちは無様な姿を見せながら、すぐにかっこ悪く死んでしまいます。
ゲームでは、クリアーできる一部の上手な人だけがハッピーなエンディングで「英雄」となれるのです。
(2)シナリオが分かってない主人公
RPGなど。物語性の高いゲームの場合。
物語は、ゲームに用意されたシナリオに沿って進み、プレーヤーはその物語の主人公をやれ、と言われますが、なにせ演じる俳優(プレーヤー)がこのゲーム自体について分かってないから右往左往。その結果、ドラクエ4のデスピサロを二軍メンバー+ドランだけで倒してしまうという、みっともない事が起こる。
誰もがカッコよくプレイできるゲームというのは無いものか?
誰もが物語の中で真の意味での主人公になれるゲームはないものか?
そう思って、いい方法ないかな、と考えたのが、以下のゲームアイデアです。企画にするほど固めてないし、あくまでアイデア、ネタのレベルです。それを紹介します。
本当はどんなネタでもいいんですが、説明しやすいやつにしましょう。
ジャンルはミステリ。コナン君や金田一少年のような、推理ゲームです。
どうせ妄想で形がないわけですから、皆さんの想像しやすいようなベタベタなやつにしましょう。
■ゲームの基本設定
・推理ミステリー(アドベンチャーゲームっぽいのを想像してくれてもいいです)
・冬の山荘に10人の男女が閉じ込められて連続殺人発生。のような感じのやつ。
・主人公=その山荘に閉じ込められた一人。
高校生とか大学生とか大人とか。探偵役をやる。
・タイトルは「なんとか伝説殺人事件」みたいな。
■ゲーム目的
・プレイヤーは、山荘に閉じ込められた一人となって、殺人事件を解決するため行動する。
上記のかんたんな設定と、プレイヤーキャラと、ゲーム目的があった場合、従来のゲームだと以下のような感じになりますよね。
■従来の推理ミステリーゲーム
・アドベンチャーゲーム。
・屋敷の中を歩き回って手がかりを探したり、色んな人に話を聞いたりして、解決の糸口を探す。
・捜査が進行してくると、シナリオに従って有力な容疑者が何人か死ぬ。
・最終的に、捜査材料、情報などから真犯人を割り出す。
・みんなをホールに集めて、犯人発表会
・泣き崩れる犯人。13年前の因縁に由来する悲しい復讐劇。
・手錠をかけられ去る犯人。
・聖母(マドンナ)達のララバイ。
といった感じに進むのが、想像できるはずです。
でも、同じ設定、プレイヤーキャラ、ゲーム目的で、全く違うゲームがつくれないかな?と考えました。カッコよく主人公が体験できるゲームとして。
■考えたゲーム
・ゲームスタイル未定(アドベンチャーみたいなやつでもいいです)
・プレイヤーは主人公なので、ホールに人を集めて「犯人はこの中にいます!」と言うことができます。
・で、選択肢が出る。この場にいる人物名リストを表示。
・一人の名前を選ぶ。
・犯人決定。
・聖母(マドンナ)達のララバイ。
というゲームです。
要するに、最後の場面で主人公が「こいつが犯人」といった相手が、事件の真犯人になります。
・誰選んでもいいです。適当に選んでもその人が犯人です。
・もし一緒に行った幼なじみの女の子の名前を選んだら、幼なじみが犯人です。
なぜ、そんなことで犯人が決まるかというと、主人公だからです。
ミステリの主人公が、そういう場で告げる犯人の名前は、絶対に犯人で間違いないからです。
ですから、犯人が分からなくて迷宮入りという事はありえません。
この物語世界において無敵の力を、「主人公力(しゅじんこうぢから)」とでも呼びましょう。
プレイヤーは主人公力を駆使して、ゲームをクリアーすることになります。
そういうゲームです。
■ゲームの特徴
「犯人を主人公が言い当てる」ではなく、「主人公が指名した相手が犯人になる」ゲームです。
犯人になったキャラクターは、とぼけたり、泣き崩れたり、開き直ったり、キレたり、別の人格が現れたり、キャラクターによって違うリアクションを見せながら、よくありがちな○年前の復讐とか、竜神沼伝説とかを語ってくれます。
従来のミステリアドベンチャーが、ミステリ小説と同じで、1度犯人が分かってしまうと価値が半減するのと違い、犯人を誰にするのかによって、さまざまな展開を楽しめます。
ですから自然と
▼従来のミステリゲーム
プレイ時間:長い
リピート性:低い
▼このゲーム
プレイ時間:短い
リピート性:高い
と、同じ設定ながらゲームスタイルは全く違うものになると言えますね。
■ゲーム内容
このゲーム、面白そうなんですが、どうやっても犯人を間違えないのだとすると、ゲームの真っ最中で、プレーヤーは何をすればいいんでしょうか?
どうも、しつこく屋敷中を歩き回って手がかりを探すという無意味なことはしなくてよさそうです。
じゃあ何をするゲームなのか?いくつかアプローチがあると思いますが、僕が考えるにこれは「誰が死ぬかをコントロールするゲーム」です。
連続殺人なので、だんだんと人が減っていきます。
ただし、誰が死ぬかはプレイヤーは主人公力である程度コントロールできます。
幼なじみの女の子や、女性、子供は死なせたくない。という人もいるでしょうし、最後に指名したい犯人(=プレイヤーが、こいつあやしいなあ、と思ってる人物)は、残しておく必要があります。
つまり最後のホールに集まるメンバーの選択こそが主人公の仕事です。
殺人事件モノでは重要と思われる「途中で死ぬ人」が実は一番どうでもいいのです。
具体的には、ここも物語セオリーである主人公力を使いましょう。
・幼なじみに常に自分と一緒に行動させる。→そうしてる限りは死なない。
・山荘の周囲の見回り。2つのグループに分ける。→主人公が入っていないグループが襲われる。
・幼なじみ(や女性)が一人でシャワー。→ほっとくと死ぬ。
・主人公が襲われても死なないので、あえて自分を襲わせることで他の人物を助ける。
・部屋割りであてがわれた部屋を、今晩だけ誰かと替わる→その人が死ぬ。
・殺人予告メッセージを見つけてしまう→その人が死ぬ。(見つけなければ、死なずに済んだのにね)
こんな感じでしょうか。どれもお約束ですね。
どうでもいい人達を殺したり、シナリオ中で犯人説が高まった人を殺したり(捜査は振り出しに戻る)。
状況によっては、犯人(にしたい人)の命を間接的に救うこともあるだろう。
こうして誰が死ぬかをコントロールしつつ、最後のホールの場面を迎えるのがゲームの真の目的です。
■まとめ
これは要するに、物語のセオリー(お約束)をパーツレベルに分解して、それをプレイヤーが使うことで物語を再構築するゲームです。
だから、ミステリや火サスを全く見ない人にはあまり面白さが分からないかも知れない。
でも遊ぶ人が遊べば、ちゃんとそれっぽい人が死んでいった上で、さらに有力な容疑者も死に、誰が犯人か疑心暗鬼になった上で、意外な犯人を指名して楽しんでくれるかも知れない。
ちゃんとルール化、システム化をしてないので、ゲームの形にはなっていませんが、コンセプトアイデアとしては分かっていただけたでしょうか?
僕は当時、友人達との話し合いの中から、こういったいくつかゲームアイデアが出てきたことによって、自分がゲームでやってみたいことが、以下の2つなんだと分かった。
(1)物語を分解して、目に見える形でルール化、システム化する
(2)分解された物語をプレイヤーの手で再構成させる。
つまり、形の見えない「物語」という曖昧なものを、目に見える形でゲーム化し、僕達(プレーヤー^)が触れるようにするのだ。
この話、続きます。
当時劇場で見たなあ、とか思いつつチャンネルを変えた。
(で、後日「パト2」だけ見た)
「イノセンス」で思い出すのは、もはや一点だけ。劇場での初見時の記憶だ。
はるか昔のことなので、あんまり覚えてないのだが、1シーンのことなのでうろ覚えながら書いとこう。
「イノセンス」のお話の骨組みは恐ろしくシンプルなので、ネタばれも何もないのだけど、映画の後半、主人公バトーさんが敵の本拠地に乗り込む。少女型アンドロイドが山ほど出てきて、大ピンチを迎えるバトーさん。
ここから「イノセンス」のクライマックス。
裸の少女型アンドロイドの大群がバトーさんを襲う!・・・あれ?
良く見ると、アンドロイドとアンドロイドが戦っている。
仲間割れ?いや、違う。
アンドロイドを次々と倒していくのは、わずか一体のアンドロイドなのだ。
しかし、なぜ?このアンドロイドは何者?
それはバトーにも、見てる僕らにも良くわかっている。
「少佐が来た!」
と、いうわけで真打ち登場。
バトーのピンチに、前作「攻殻機動隊」の主人公「少佐」こと草薙素子見!参!
少佐は前作で肉体を捨てた。で「ネットは広大だわ」と言いつつ、電脳の海に消えていく。
バトーにとっては「彼女」の記憶(と思い)こそが、確かな自分のアイデンティティ。
肉体を持たない少佐は、敵少女アンドロイドの一体をハックして、バトーの危機を救ったわけだ。
乱闘の中、一体のアンドロイドがおかしな動きをはじめ、他のアンドロイドを次々に倒していき、最後はバトーさんと銃を向け合って決め!
この登場シークエンスとそれを支えるアクション作画は、「イノセンス」中、最もテンションが上がった瞬間だった。
で、ですね。本題はこの後なんですよ。私が印象深いのはこの後のシーン。
当時、劇場で見てるとき、少佐の登場にテンション上がりつつも、次の瞬間思ったのは以下のこと。
少佐の姿は「敵と全く姿・形が一緒の少女アンドロイド。ってことは、この後、少佐なのか、敵アンドロイドなのか、画面上でどう区別をつけたらいいの?」
そうなんだよね。ザクとザクが戦うみたいなもんで、全く見た目上の区別つけられないんだよね。
登場シーンは区別がつかないからこそ、サプライズが決まって素晴らしかったんんだけど、この後はどうするんだろう?どう処理するんだろう?僕の興味はこの問題をどう解決するのか、に引き寄せられた。
見た人は分かってると思うけど、どうしたと思います?
「イノセンス」では、次の瞬間、バトーさんが裸の少女アンドロイド(少佐)に自分のジャケットをそっとかけるのです。
少佐「・・・そういうところ、変わってないわね」
素直にうまい!と思わず感動した。
このシーンは、一つの行動で2つの目的を果たしている。
(1)画面上の問題の解決。バトーのジャケットを着た少佐(アンドロイド)は、敵アンドロイドとの識別が容易に。
(2)久しぶりに会った男女の再会シーンとして、2人の関係とバトーの思いを表現。
少佐は肉体を捨てた身。今のかりそめの体も少女型とはいえアンドロイド。少佐にとってはこのままの姿で何も問題はない。
だがバトーは、好きな女性が裸のままでいることに許せないのでしょうか、ジャケットを着せる。アンドロイドの体に。
少佐はそんなバトーに、肉体のあった頃の自分とバトーの関係を思いだし、そっとつぶやく。「・・・そういうところ、変わってないわね」
いやすばらしい。先ほどの僕の疑問を完璧に処理したばかりか、それ以上の意味をこのシーンにこめた。
一つのシーンにいくつかの役割をさせるのは、2時間しかない映画では特に重要なことだと思うが、その意味では極めて映画的に有効な処理ではないだろうか。
そんなわけで。
イノセンス、それは
少佐の登場シークエンスとバトーのジャケットだ。