先日、劇場で映画『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』と、映画『ザ・フラッシュ』を見て来ました。


いずれも物語のキャラクターとして定められた運命と、どう向き合うか、どう戦うか、という点で似たテーマを取り扱っており、とても興味深く鑑賞しました。おすすめです。

と、いうことで今回は、ゲーム『ドラゴンクエスト』ネタでお送りします……どういうこと?

火事とビアンカ・フローラ論争は江戸の華



中川翔子さんと堀井雄二さんとドラクエ5ゲーム実況生配信の動画はこちら。
(動画の開始位置を「独身のままでいるビアンカの話」が始まるあたりにしてあります)




『ドラゴンクエスト5』といえば、やはり話題になるのは、ビアンカ・フローラ論争

ゲームの中で主人公(プレイヤー)が結婚相手として選ぶ2人のヒロイン、ビアンカとフローラ。
どちらを選ぶのか、ビアンカ派とフローラ派で激しい論争になることもありますね。
あくまでゲーム上の選択ではあるのですが、その人のゲームや物語に対するスタンスを考える上でよいサンプルとなるでしょう。

この『ドラクエ5』のビアンカ・フローラ論争で、私が個人的に思うことはふたつ。

ひとつは、作者・堀井雄二がビアンカを選ぶストーリーを「本筋」と定め、物語上の扱いにかなり差をつけたということ。主人公(プレイヤー)はどちらでも選べるが、そもそも等価な選択肢として用意されていない。

もうひとつは、それにより、堀井雄二の本意どおりにビアンカを結婚相手に選ぶことが物語的に「普通」「当然」「正解」であり、それを選ばない人はおかしいのでは、と語るユーザーを生んだことではないだろうか。

「フローラ」を選ぶことはおかしいのか


この「ビアンカ・フローラ論争」の話を進める前に、まずは私自身の選択を示さないわけにはいかないだろう。

私は、スーパーファミコン版『ドラゴンクエスト5』では「フローラ」を選択しました。
生まれてくる子供の髪の色というのが、大きかったと記憶しています。
(これぐらいしか、選択によって子供に影響を及ぼす要素が無かったりする)

その後の2回目またはリメイク版などは未プレイです。
仮にプレイすると「今度はビアンカ選択ルートやってみるか」となりそうですし、やはり初回プレイでの選択が重要になってくると思います。

ちなみに「フローラ」を選んだことを話すと、「物語上はどう考えてもビアンカ選ぶのが普通でしょ。おかしいよ」みたいなことを平気で言う人もいる。私も身近な友人に言われたことがある。

同じようなことを言われた人は、結構いるのではないかと思う。


「ビアンカかフローラか」という話題を振ったら、「そんな発想自体がおかしい。ストーリー的にビアンカしかありえないし、制作者もビアンカを正解として作っていることは明らか。論ずること自体が間違っている」


さすがに、ここまで過激に言われたことはないが、Twitterだけでさえ同じようなことを言われたという人はそれなりに見かけた。

フローラを選んだ人たちを、「ビアンカを選ばないのはおかしい」と批判する根拠の多くは、「ビアンカを選ぶしかないストーリーになっており、それが制作者の本意(正解)だから」というあたりになっていると思われる。

フローラを選んだ私ですら、それは事実として正しいと思うし、ゲームでの実装、宣伝、制作者の発言などを含め、ビアンカの扱いが正ヒロインで、物語的にも「本筋」であることは、ほぼ明らかであると思う。

少しこのあたりを復習も兼ねて、確認してみよう。

とはいえ、この記事を書くにあたりドラクエ5をプレイし直しているわけではないので、インターネットの知見を利用させてもらうことにする。
また、以降の話はオリジナルであるスーパーファミコン版『ドラゴンクエスト5』を基本として進めることにします。

ビアンカとフローラ、ゲーム上での比較


以下のWikiを参考にさせてもらったが、大変ボリュームがあるため、要点をまとめてみる。

ドラクエ用語まとめwiki
https://wikiwiki.jp/dqdic3rd/

★能力やアイテムなどゲーム的要素での比較
  • ステータスなど能力面では一長一短で特に大差ない
  • 習得魔法という面では、ビアンカが覚えないイオナズンも使えるフローラが有利
  • さらにフローラならアイテム「やまびこのぼうし」を使っての山彦ベホイミ、山彦イオナズンが可能
  • フローラルートだと、2000Gと「みずのはごろも」が手に入る

箇条書きにすると、フローラ有利であるように見えるが、『ドラクエ5』のパーティメンバーは固定ではない。
優秀な「息子」と「娘」がいるほか、モンスターも味方に加えてパーティメンバーにできる上、そもそも3人パーティなので一家4人ですら同パーティを組めない。
ゴールドやアイテムの援助も、無いよりはありがたいが、ゲーム進行自体には影響がないレベル。

要するに、フローラ側のメリットである「富豪の娘」「イオナズン習得」などはゲーム的な影響は軽微でしかなく、無視して好みで選べるような要素でしかない、ということになる。

では、ストーリー上のキャラクターとしての2人はどうだろうか。


☆物語要素での比較
  • ビアンカは「幼なじみ」として、子供時代から関わる場面が多い
  • 一方、フローラは子供時代の出会いも無く、関わりも薄い
  • 結婚相手に選ばなかった場合、ビアンカは独身のままだが、フローラは別の男性と結婚するストーリー(主人公が選ぶ以外にビアンカが結婚する未来が用意されていない)
  • フローラに結婚を申し込むと、「本当にわたしでいいの?」と二度目の確認選択肢が入るのに対し、ビアンカの場合は確認はない

子供時代から物語に関わり、プレイヤーの情が移るよう処理されているのはビアンカのみ。
この扱いの違いは、そもそもビアンカルートが制作者の意図した「本筋」である以上、当然のことと言えるのでしょう。フローラに物語性が弱いのはシナリオのミスではない。

ちなみに花嫁選択時の「確認」の有無についてだが、結婚相手を選ぶ時に、フローラを選ぶと、最終確認の選択肢が出てくる。
しかしビアンカを選んだ場合は確認無しで、そのまま結婚、という仕様になっているそうだ。

つまりこのゲームは、フローラを「気の迷い」や「好奇心」で選んだ場合、「本筋」のビアンカに戻れるようにやり直しの機会を与えている(しんせつー)。
それがビアンカに無いのは、その選択がやり直しなど必要のない「本筋」だからだろう。つまり選び直しの機会でフローラに変えるような事態は、制作者が望んでいない。

これについて、Twitterではこのような意見も見た。


フローラには最終確認があって、ビアンカには最終確認がないってこれまで知らなかったから知れてめちゃめちゃ嬉しいね、より必死な方が勝った……!


個人的には、この選択肢の仕様に対して、そのような視点では見れないな……。

前述したように、プレイヤーに任された自由な二択に見えるだけで、結局は制作者の考える「本筋」に誘導させるためのデザインでしか無いものを、ここまでありがたがる気には私はなれない。

そもそも、こちとら「キャンセル」可能なフローラ選択に、最終確認出されても「はい」と答えているわけで。
より必死という意味では、2回フローラを選び、意志を変えなかったプレイヤーこそがそう言えるのかも知れない。(言えることにしよう)

ただ、今から思えば、この世界の神であり父でもある堀井雄二への反発心は強かったような気がする。
ビアンカに罪は無いけれど、父であり神にお膳立てされた正しい花嫁を選ばなくて何が悪い。
イオナズンや、子供の髪の色で選んで何が悪い。

世界の神「おお、フローラを選ぶとは……そうか、一度は真逆の答えを選んでみるという戯れじゃな。好奇心旺盛なやつめ。よいよい、もう一度チャンスを授けよう。キャンセルして、ビアンカを選ぶがよ……それでもフローラを選ぶと申すか!」


フローラを選んだ時から、もう神への反逆は始まっている(闇の反逆軍団編)。

独身ビアンカを見るのは誰なのか


ちなみにビアンカとフローラの非対称性という意味では、結婚後にも違いがある。
ビアンカと結婚すると、フローラは他の男性と結婚するが、フローラと結婚すると、ビアンカは独身のまま。

これをキャラクターの性格の違いとして説明するのは、はっきりいえば建前に過ぎないだろう。

ビアンカがフローラのように、プレイヤーと無関係に自分で幸せになる可能性を作られていないのは、当然、意図的にデザインされたもの。
ビアンカが男性と結婚し、子供も産み、彼女の家庭を作るには、プレイヤーと結婚する以外の方法が用意されていない。

これはよく言えば「ビアンカを幸せにできるのは俺しかいない!」だろうが、むしろそう思わせるためにビアンカの境遇がデザインされているに過ぎない。

ビアンカが結婚もせず独身のままであるのを目撃するのは一体誰なのか。
ビアンカを選んだプレイヤーはそれを見ることはない。
見るのはもちろん、フローラと結婚したプレイヤーだけだ。

自分はフローラと結婚したので、ビアンカが父ダンカンとともに山奥の村に住み続けるのを見た。
現実でもそうだが、別に独身だろうが子供がいなかろうが、幸せであれば一向に構わないわけだが、正直そのようには見えない。

それを見て後悔し「ビアンカを幸せにできるのはやっぱり俺しかいなかったんだ!」と、結婚前のセーブデータに戻ってやり直してくれてもええんやで。ただし、それでもフローラルートを続けるのであれば、ビアンカが独身のまま物語が終わるのを見せるまで、といったところか。

独身ビアンカを見るのは、フローラを選んだプレイヤーに限られるので、神が「君の選択は正しかったのかい?」と突き付けるために、ビアンカを独身のままでいさせている、という印象が私には強い(闇の反逆軍団なので)。

もちろん「本筋」ヒロインとして用意したビアンカが、プレイヤー以外の男性と幸せな家庭を築く、ということがタブーだという意識もあったかも知れない(今で言うところの、ヒロイン寝取られ的なニュアンスになる?)。

いずれにせよ、フローラと結婚する=ビアンカは独身のまま終わる。
結婚や出産が女性の全てでは全く無いが、ゲーム世界に用意されたものとしては、ビアンカはその人生がどうなるかをプレイヤーの選択に依存させられている、ともいえる。
その意味では私には、ビアンカは気の毒な、かわいそうなヒロインに思えてならない。

そしてそれとは逆に、フローラ自体に用意された物語はほぼ無いのだが、メタ的に堀井雄二を父あるいは神的なものと考えれば、父(神)への反逆としてのフローラを選ぶ物語は、それなりに面白く、意義のあるものになっていると個人的には感じている。

圧倒的なビアンカとの結婚率


ちなみに、過去、複数の雑誌において「あなたはビアンカとフローラのどちらと結婚しましたか?」というアンケートが行われていて、以下のページにその結果が書いてある。

ドラクエ用語まとめwiki 【フローラ】
https://wikiwiki.jp/dqdic3rd/%E3%80%90%E3%83%95%E3%83%AD%E3%83%BC%E3%83%A9%E3%80%91#i936c7ba

ファミコン通信(1993年3月12日号)
ビアンカ 81.6%
フローラ 18.4%


Vジャンプ(2000年7月号)
ビアンカ 68.4%
フローラ 27.7%


PS2のリメイク版の発売が2004年なので、単純にSFC版の時間経過による変化ということになる。
それぞれの質問の仕方は不明だが、複数回プレーした人はビアンカの次にフローラを選んだりしているだろうと考えると、のちのアンケートでフローラとの結婚が増えているのは理解できる。

だが、発売翌年アンケートの「ビアンカ 81.6%」が示すとおり、やはり圧倒的多数で選ばれているののはビアンカ。

上記ページによれば、堀井雄二は以下のように発言しているらしい。

「SFC版では9割がたのプレイヤーがビアンカを選ぶと思っていたが、意外とフローラを選んだという反応も多かった」


9割ビアンカ想定であれば、81.6%は大差といえど、思ったよりは低い数字だったようだ。

ビアンカとフローラはそもそも最初からフラットなキャラクターでは無かっただろうが、さらに堀井雄二のような巧みなクリエイターの手にかかると、「ビアンカが正解」とユーザーに思わせる物語の流れが出来上がってしまう。
9割想定で、81.6%ビアンカは十分に狙い通りだとはいえるだろう。

ここまでビアンカを選ばせるつもりなら、一応、選択肢を用意しつつ結局は「本筋」のビアンカルートに流れるようにしてもいいような気がするが、実際に分岐するルートを作っておいた上で、それでもプレイヤーの9割にビアンカを選ばせる、というのが堀井雄二の目標、というか挑戦だったのかも知れない。

ともかくプレイしたユーザーは、ビアンカを選ぶしかない流れに置かれるが、フローラというもう一人の候補が現れる。
彼女はお金持ちの生まれで、イオナズンやベホイミも覚え、資金やアイテムの援助もある。

恋愛ドラマやマンガでもよくある、距離が近い異性と、距離は遠いが多くのものを持っている異性との対比。

私の世代で馴染みが深いのは、男女が逆転するけれど例えば高橋留美子『めぞん一刻』での音無響子に対する五代と三鷹。(例が古い)



五代は、冴えない貧乏学生(物語当初)だが、同じ一刻館で暮らすうちにあれこれと。
三鷹は、容姿端麗、スポーツ万能、一流大学卒、実家も資産家。声が神谷明。テニスクラブでの付き合い。

こんな2人の異性に好意を寄せられて、さてどうしましょう?という、皆さんおなじみのアレです。
古来より数多くの例がありますね。

パターンとしては、持てる者ではなく、持たざる者を選んで幸せに、という展開が多いのではないかと思います。
現実とは違いフィクションですので、客観的あるいは世俗的な幸せの形を、キャラクターの心が飛び越えていくところが見たいですからね。
この場合、家がお金持ちで、容姿端麗で、成績優秀で、といったキャラクターの要素は、本当に好きな相手を選ぶためのスパイスのようなもの。

フローラに与えられたステータスもその部類。
要は本命ビアンカを引き立てるための「当て馬」「引き立て役」であって、ビアンカ 81.6%という結果から見ると、その役割を十分に果たしていたのだと言えるだろう(これでも想定より低いわけだが)。

だから堀井雄二の誘導どおりにビアンカを選ぶのは、用意された物語、意図された選択肢という意味では正しいのは間違いない。
ただしゲームというメディアで、プレイヤーが選んだ選択はすべて正しく尊重されるべき、というのもまた事実。

例えば、Twitterでフォローしてる方のこんなツイートに感動したことがある。


『ファイアーエムブレム』では多くのプレイヤーが、味方の戦死者ゼロでのクリアーを目指す。
もちろん、それもひとつのゲーム体験だが、「計40名 戦死37名」の死闘でしか味わえない至高のゲーム体験というものもある。
私は素直に心底うらやましかったし、感動した。

どのような形であろうと、プレイヤー自身が選んだゲーム体験はその人のものであり、常にすばらしいものだと思う。

よって、ビアンカ・フローラ論争で唯一正しくないのは、他のプレイヤーの選択を「正しくない」と決めつけたり、「おかしい」と貶めたりするような行為、ということになるだろう。

フローラというキャラクターをどう強化するべきか


フローラは、あくまでもビアンカの当て馬で用意されたキャラクター(選択肢)で、彼女の背景である「富豪」もそれでしかないのだが、個人的にはそれをもっと尖らせたような方向性でも面白いのではないかと思う。

例えば、フローラと結婚しない限り、絶対に手に入らないレアアイテムなどがあってもいい。
ゲーム上最強の武器や防具とかね。ビアンカvsフローラ&最強剣 のような選択になる。

その程度では天秤はビアンカから傾かないかな。
では、富豪であることを活かして、色々と複合的なメリットで攻めてみようか。
レアな武器や防具、だけでなく、世界にひとつしかないような回復アイテムなども世界中から取り寄せてみよう。
商人のネットワークから、貴重な情報を集めることができてもいいかも知れない。
例えば、小さなメダルの知られざる隠し場所とかね。
そういったものをゲーム終盤までサポートしてくれる。

つまりいっそのこと、徹底的に

「物語上の必然(ビアンカ)」 vs 「ゲーム攻略上のメリット(フローラ)」

の対立軸で攻めてみる。

もっともゲームでは、フローラと結婚した場合のゲーム的なメリットの全体像が全く推測できない。
それは結局、選択に関わるほどの価値が無いからだが、ここまで豊富な富豪メリットを用意する場合は、フローラとの結婚で得られる具体的なゲーム的メリットは当然、結婚前に提示する必要がある。

彼女本人の資質(スキルや呪文など)もオープンにし、数々のメリットも結婚前に把握できるようにしておく。

何ならフローラ自身も全く主人公に興味が無いというレベルにチューニングしてもいいかも知れない。でも勇者誕生とお家のために結婚することは覚悟決めてるような女性ぐらいのチューニング。つまり2人の女性から同じように好意を寄せられているわけではないことにする。
しかし、ゲーム攻略上のご褒美目録は充実のラインナップ。課金で得られるようなVIP待遇。

例えば恋愛に興味と関心がまださほどない小学生男子などは、ゲーム的なメリットを吟味して「最強の剣?フローラ一択だろ!」と迷わず選ぶかも知れない。
それが「当然」で「普通」で「正解」として。

のちに発売されたリメイク版ではフローラのイベントなどを増やしていると聞く。
つまりフローラの「キャラクター」や「物語」を追加して、選択の不平等さを多少是正するという方向だろうと思う。

それをするのは理解できるが、個人的にはどうせなら「物語上の必然」vs「ゲームメリット」の方向を突き詰めるような形でパワーアップさせるのが好みかも知れない。

そして、さらにピーキーに調整するなら、こんな感じか。

例えばビアンカは勇者2人を産むが産後の肥立ちが悪く(この言い回し久しぶりに聞いた)、病に倒れて戦闘では輝けなくなる。でも健気で気丈で。病床にあっても子供たちや夫(プレイヤー)を愛し、常に心配してくれる。
(ゲーム的な価値をほぼゼロにしつつ、キャラクターの魅力は最大化する調整)

フローラの場合、前述したように主人公に特に好意は無いが、社会的使命も踏まえて結婚し、子供を産む。その後、ルドマンと共に商会をさらに発展させ、政治力も発揮、世界中からレアアイテムや貴重な情報を集めるネットワークを構築していく。
(ゲーム的な価値を可能な限り増やし、物語的なキャラクターの魅力やプレイヤーへの好意などは足さない)

健気な病床の愛妻ビアンカと、辣腕の豪商にして公私のパートナー、フローラ。
(なぜか、この場合のフローラの声が榊原良子さんのような気がしてきた)

さあ、どうする? どちらを選ぶ?
もちろん、どちらを選んでもいい。プレイヤーの選択はすべて正しいのだから。

悪役令嬢フローラの細腕繁盛記


ここまで書いたのは、あくまでも「ピーキーに調整する場合のフローラ」の例でしかない。

ただ現在の視点から見ると、フローラの存在はいわゆるジャンルとしての「悪役令嬢もの」との親和性が高いのではないかと思う。
貴族階級とか、ルックスや性格の問題ではなく、「選ばれないために用意されたキャラクター」として。

私は「悪役令嬢もの」はアニメになった有名なやつを見たことがあるぐらい。
あとは、Kindle Unlimitedで、お試し1巻無料で「悪役令嬢もの」をいくつか読んでみたことがある程度。



「悪役令嬢もの」というジャンル自体に詳しいわけでは無いので、Wikipediaを参照してみることにする。

「悪役令嬢」とは、フィクション作品世界の中でヒロインの敵対者として登場し、家柄や身分、容姿、資産などで有利な位置に立って、ヒロインの恋路に立ちはだかる役柄であり、権力や取り巻きを使ってヒロインを攻撃するが、ヒロインやゲームでの攻略対象(王子や公爵家子息、騎士団長嫡男など)に反撃され、最終的には敗北し破滅(バッドエンド)してしまうこともある存在である。
Wikipedia:悪役令嬢


「悪役」と入っているように、基本的にはヒロインの敵対者やライバルで、物語上は障害(スパイス)の役割でしかない。

ジャンルとしてはさまざまな経緯やバリエーションがあるが、Web小説としては

・異世界転生もの
・乙女ゲームもの (主人公が女性の、女性向け恋愛ゲーム)


これらのジャンルが合流しながら発展していき、

「乙女ゲーム世界の悪役令嬢に転生した主人公が、ヒロインに敗北し破滅する運命を避けるため悪戦苦闘する」

といった物語ジャンルとなったようだ。

この「悪役令嬢」は、いわゆる社会的ステータスは高く、王子(的なヒーロー男性)と結ばれるにふさわしいが、結局のところ、王子に選ばれないキャラクター。
王子と結ばれる真のヒロインを引き立てる役割として物語に存在し、「普通」「自然」「必然」の物語に負ける配役のキャラクター。

こうしたキャラクターに、転生者という客観視(メタ視)できる第三者の内面を与えて、その「物語の必然」というものを変えていこう(王子に選んでもらう必要のない人生も含めて)という意思が、悪役令嬢ものにあるのだとしたら、フローラは基本的に同じようなポジションのキャラクターになると思う。

もっともフローラは「悪役」でも「令嬢」でもないが、ゲーム的に選ばれないことを前提に物語が組まれているのはここまで書いてきた通り事実で、そこにこそ想像力の介入する余地があるのは確かだと思う。

物語の作者に与えられた役割(選ばれないこと)が運命だとするなら、その運命から逃れること、逆らうことは可能か。

だから私が知らないだけで、『ドラクエ5』のフローラに転生して、与えられた「物語の必然」と戦うような二次創作のWeb小説がきっとどこかにあるのだろうと思う。

そして、そういった転生フローラ小説があるのだとしたら、恐らくビアンカ、フローラ双方が救われる物語にするのではないか。
神に定められた運命(ルート)に逆らいながら、それでも幸福を得る物語であれば、いずれか片方の幸せでは神が用意した物語を越えたことにはならないので。

もしかすると、フローラと主人公(ドラクエ5)が結婚しなくてもいいのかも知れないし、ビアンカ、フローラ共に主人公と結婚してもよいのかも知れないし。
フローラは主人公と結婚するが、ビアンカも素敵な誰かとパートナーになって、良き友人になるのかも知れない。
いっそ主人公も女性で、3人とも女性のシスターフッドのようになってもいいのかも知れない。
(子供は何か方法を考えればいい。「しんかのひほう」があるなら、「かいにんのひほう」もあるかも知れない)

これらは当然『ドラクエ5』のゲームとして用意されていない展開だが、だからこそ世界の神・父に反逆する展開として、あえていくつか例を出してみた。

アカシックレコードのようなWeb小説界には、恐らくすでに存在するはずのドラクエ二次創作小説『転生フローラ細腕繁盛記』が本当に読みたくなってきたかも知れない。
存在してないなら誰か書いて欲しい。まあドラクエ二次創作でなければ、色々該当作がある内容だと思う。

前述したように、主人公に好意があって結婚したわけではく、辣腕を奮いながら世界のために主人公をサポートしてきたけれど、その終盤あたりで、それぞれかけがえのないパートナーとして、愛情を感じるような物語になっているのも個人的に好みだ。
好きで結婚(もちろん、これもこれで構わない)の対比、対極としての、ゆっくり好きになっていくパターン。

『ファイナルファンタジー5』のチキンナイフとブレイブブレイドもゲームに対するスタンスの選択肢だが、ビアンカとフローラは当然それより扱う問題の大きさと幅が広いので、さまざまな方向で思索を巡らすことが出来て面白いと思う。

もっとも、「ビアンカこそが正しい」「ビアンカを選ばない奴はおかしい」などと、用意された「正しさ」に固執していると、その楽しさを味わうことは出来ないかも知れない。
それはもったいない気もするが、何をどう選ぶかはその人の自由だ。





妻「ねえ、あなた……(熱い視線を送りつつ、ペルソナ4を見せる)」
夫「うーん、疲れてるんだ。また今度にしてくれよ……(寝返りをうち背を向ける)」

アトラスの人気RPGシリーズ『ペルソナ4』 (PERSONA4) をクリアーしました。すばらしいゲームでした。

実は私が据え置きゲーム機でRPGをクリアーしたのは、PS1「ファイナルファンタジー9(2000年)」以来。PS2でRPGをプレイしたのはこれが初めて。2009年にして初めて。
「女神転生」シリーズはわりと好きだけど、最後にクリアーしたのはセガサターン版「デビルサマナー」。ペルソナシリーズは全くの初めてでした。

良いゲームだったので、親しい友人に貸すからぜひプレイを、とすすめたところ、冒頭のような状況になったというわけ。
友人にはぜひペルソナ4を体験して欲しいが、彼の気持ちもよく分かる。

私も彼もファミコン世代だから、子供の頃から一通りゲームをやってきたのだけれど、今ではめっきりゲームに振り分ける時間が少なくなった。2人ともPS2はあるが、ウイニングイレブンのディスクケースであり、他のゲーム、特にRPGは全くプレイしない。

しかしペルソナ4は、そんな「RPGレス」の人にもプレイしやすくつくられたゲームです。それがプレイしてよくわかったので、「RPGレスのためのペルソナ4ガイド」として、このゲームの良いところをご紹介します。

見てのとおり、最近の日本製RPGのスタンダードは分かりません(海外も含めたRPGの全体の流れはもっと分からない)。
他のRPGとの比較もできないので「ペルソナ4すごい」というポイントが、最近のRPGなら当たり前というものもあるかも知れないですが、ご容赦いただきたい。おすすめしたいのは「最近のRPG」ではなく、あくまで「ペルソナ4」ですので、その視点でお話します。

基本的には友人のために書きますが、「最近どころか何年もRPGなんて全然プレイしていない」という人は結構多いと思うので、そういった方へも捧げます。

まずは、ペルソナ4の基本情報のご紹介から。

ペルソナ4とは


『ペルソナ4』 (PERSONA4) は、2008年7月10日にアトラスより発売されたプレイステーション2ソフト。同社の『ペルソナシリーズ』の4作目。(wikipediaより)

ペルソナ4ペルソナ4
(2008/07/10)
PlayStation2

商品詳細を見る

公式サイト
http://p4.atlusnet.jp/

あらすじ
主人公は高校生。1年間の期間限定で地方都市にある叔父の家に居候することになった。
その町で発生する連続殺人事件。主人公達は、異空間を探る中で「シャドウ」と呼ばれる化け物に襲われ、日常の裏にある世界の闇を垣間見る事になる。そしてペルソナ能力を発現させた彼らは、事件解決と、今始まりつつあることの真実を求め奔走する。


現代を舞台にした、学園伝奇異能力RPGとでもいえばいいでしょうか。そんなゲームです。

ペルソナ4ガイドの前に


RPGというと、世界観とキャラクターとシナリオが重要視されることも多いと思います。
恐らくペルソナ4でも、魅力として語られることが最も多いのは、愛すべきキャラクター達と、青春いっぱいの楽しいジュブナイルストーリーだと思われます。

しかし、ここでは、その「最大の魅力」については何も言うつもりはありません。
ペルソナ4の世界観とキャラクターが魅力的なのは、公式サイトなどを見てもらっても分かるでしょうし、そういう視点ですでに記事を書いていらっしゃる方も多いので、それで好感をもってくれれば、ありがたいという感じ。

私は、ゲームシステムに対してお金を払うという意識が強い人間なので、『ペルソナ4は、RPGから足を洗ったような人間でも快適にプレイできるようつくられたゲームである』ということのみに絞って書きたいと思います。



【1時間目】 ゲームの基本構造


ゲームは、日常(学校)パートと、非日常(ダンジョン探検)パートに分かれます
日常パートは、キャラクターとシナリオを楽しむパート、
非日常パートは、RPG的な冒険を楽しむパートと思えばいいでしょう。

ゲームはカレンダーどおりに1日単位ですすめます。基本的な1日はこんな感じ。

午前→午後
高校生なので、学校へ行って授業を受けます。
ゲーム的には特に何もすることがありませんので、あっという間に終わります。

放課後
1日の授業が終わった後、胸騒ぎのアフタースクールが自由時間になります。
この時間を、日常や冒険に使います。
どう使うかはプレイヤーのお好みで。キャラとシナリオを楽しんでもいいし、バリバリにRPGをやってもいい。



【2時間目】 日常パート(コミュ)


放課後に日常を選んだ場合はこちら。
舞台となる地方都市でのヤングライフをたのしみましょう。

■街1個のスモールサイズRPG
ちなみに街の中での移動は3Dフィールドを動き回るタイプですが、いつでも□ボタン1つで移動先を選べます。
例えば学校から出るときに、校門まで歩いていく必要はありません。□ボタンを押して「街へ出る」を選べばOK。校内での移動も「屋上」「2階廊下」「1階廊下」など選択できるので、歩くのは本当に最小限で済みます。

そもそも地方都市を舞台としているので、移動できるスポット数自体が少ないし、スポット内での移動範囲も狭い。武器屋もアイテムショップも最後まで1つ。世界1周旅行するRPGと違って、世界をくまなく回る必要は全くありません。
これだけでも、RPGレスのめんどくさがり屋にすすめてもいい点の1つだと思います。

■楽しいコミュ活動(キャラクターショートストーリー)
さて街や学校では、アルバイトや勉強なども出来ますが、何と言ってもメインは「コミュ」活動。
これはキャラクターにスポットを当てたショートストーリーと思ってください。
「各パーティメンバー」「部活の友達」「居候先の家族」「バイト先の知り合い」など、町で出会ったさまざまなキャラクターと、きずなを結んでいくことになります。
コミュは全部で20。メインストーリーとは別に、20のショートストーリーがあるのが、ペルソナ4のシナリオです。
メインストーリーはゲーム全体の進行によるものですが、ショートストーリー(コミュ)は、何をどう進めようとプレイヤーの自由になっていることがポイントです。

ショートストーリーは、キャラクターにヒモづいている以上、そのキャラクターの掘り下げストーリーになります。(連続ドラマやアニメでの「サブキャラクターの主役回」と思ってもらうと、分かりやすいかも知れません)
仲良くなりたい=キャラクターの掘り下げストーリーを見たい、ということになります。
コミュレベルは最高で10まであり、各ショートストーリーは全10回に分割されています。そのキャラの全てのお話が見たいのであれば、仲良くなって段階的にコミュレベルをすすめる必要があります。

興味をひかれないキャラのコミュはすすめなくても問題はありません。なぜならゲームのクリアとコミュは無関係だからです。好みのキャラを選んで仲良くする=ショートストーリーを見る、という展開ですので、思う存分、好みですすめてください。

大作RPGにありがちですが、全てのキャラクターをメインシナリオ内でいじっていくから、どうしても興味ないところは興味ないですし、面白くないところは面白くない。メインシナリオの量も長大になるが、ゲームクリアと直接つながっている以上、全てを体験しないわけにはいかない。

ペルソナ4では個々のキャラクターの物語を「コミュ」として、メインシナリオから分けた事で、こうした悩みからは解放されています。メインシナリオもおかげで大変すっきりコンパクト。

■コミュ活動のメリット
ゲームルール的には、コミュレベルによって、ペルソナ合体(悪魔合体)時の経験値ボーナスがもらえるようになります。
合体しただけなのに、仲魔のレベルが5レベル上がってしまったりするわけです。1回も戦っていないのに。コミュ活動(キャラとシナリオを楽しむ)をしていれば、その分、ペルソナのレベル上げなどをしなくて済むというわけ。
ですからコミュ活動は、RPG的に損をしているどころか、強化活動の一環といえます。



【3時間目】 テレビの中で、ダンジョン探検


放課後に非日常を選んだ場合はこちら。
テレビの中にある異世界でのヤングライフをたのしみましょう。
RPGパートであるダンジョン探検です。

「メガテンといえば、3D(一人称)視点ダンジョン?あれはムリ。迷う」

ペルソナ4のダンジョンは、画面内の主人公をそのまま動かして操作するタイプ(ようするに街と一緒)。マップも常に画面に表示されているから、迷うようなことは一切ありません。

しかも敵の姿も同じように見えていて、接触しない限り、戦闘にはなりません。
敵はこちらを見つけると追いかけてきますが、十分に走って逃げ切ることができますので、ランダムに戦闘に入ってイライラするようなことも起こりません。基本的には、こちらが戦いたいと思うタイミングで戦うことができます。

でもきっと喜んで敵と接触することになるはずです。
なぜなら、ペルソナ4の戦闘はとっても楽しいから!



【4時間目】 駆け引きが楽しい戦闘システム


戦闘は、名作の誉れ高い「真女神転生3」のプレスターンバトルを、分かりやすく改良したもの。
作業になりがちなRPGの戦闘を楽しいものにしてくれているので、ぜひ体験してほしい。
個人的には、ペルソナ4の戦闘は、格闘ゲームのようなものと考えると分かりやすいんじゃないかな、と考えています。

■いちばん大事なのは「ダウン」をとること
ペルソナ4では「ダウン」を取ることが、最重要とされます。
「ダウン」をとったキャラクターは、「1more」といって、もう1度ボーナス行動ができるためだ。
さらに、敵全体からダウンを取れば「総攻撃」といって、パーティ全員で敵をタコ殴りにできる。

ではその「ダウン」はどうやってとるか。

ダウンの取り方
・敵の弱点を突く攻撃をする
・クリティカルヒットを出す
・敵の攻撃を華麗に回避して転ばす


クリティカルや回避は運だのみだけど、弱点を突くのは狙っていける。
火に弱い敵には、火の攻撃を。雷に弱い敵には、雷の攻撃を。
しかし、もちろんのこと敵もこちらの弱点を突いてきます。敵にも「1more」が発生するので、追加攻撃を受けてしまう。
つまり重要なのは、いかに敵から「ダウン」を取り、敵には「ダウン」をとらせないか。これがペルソナ4の戦闘の基本になる。
いかがです?何か格闘ゲームみたいな駆け引きみたいじゃありませんこと?

■ダウン後の攻防
「ダウン」をとってからの選択は、さらに格闘ゲームを連想すると分かりやすい。
格闘ゲームで「ダウン」をとったとき、攻撃側が有利になるのだけど、そこからさらに空中コンボやダウン攻撃で、ダメージ量を増やすか、間合いをとったり、ガードして仕切りなおすか、などを状況によって選ぶ。ペルソナも似たようなものと思えばいい。

「1more」(ボーナス行動)の主な使い方
(A)別の敵の弱点を突いて、さらなる「ダウン」を取りにいく
(B)敵全員がダウンであれば、総攻撃をかけて、大ダメージを与える
(C)敵がダウンしている隙に、体力を回復させる
(D)防御を選んで、自分の弱点属性を消し、敵のダウン攻撃に備える


(A)、(B)は、全員ダウン→総攻撃を狙って、ダメージ量を増加する選択。
たとえば序盤にありがちなシチュエーション。敵が2体。こちらは敵の弱点をつけるけど、単体攻撃しかできない。こんなときにどうするか。
まず弱点攻撃で1体のダウンを取る。RPGでの戦闘は敵の頭数(=攻撃回数)を減らすことが大事だから、「1more」を使って、ダウン取った敵にとどめの攻撃を刺す……必要がペルソナでは無い。ここはもう1体の敵にも弱点攻撃をして敵全員のダウンをとってしまおう。これで総攻撃へなだれこむことができ、1ターンでも敵2体をやっつけることができるだろう。
最初は、ついセオリーどおり頭数を減らそうとしてしまうのだけれど、少し工夫すると、1ターンで全ての敵を倒すことができることに気づくのだ。
しかし、総攻撃後は敵もダウンから回復し、仕切り直しとなるため、とどめをさせなかった場合は敵からの反撃が来る。
敵にとどめを刺せないと分かっている場合(ボス戦など)は、状況に応じて、総攻撃以外も使っていく必要がある。

(C)は特にペルソナの戦闘特性が出ている。例えば、あと一撃のダメージで死んでしまうような瀕死の状態の時、どうするか。
普通のゲームなら、まず体力回復。命の危険がなくなったところで、次のターンに攻撃。が基本になるかな。
でもペルソナ4なら、まず弱点攻撃でダウンをとる→1more発生→ボーナス行動で回復。といった具合に、瀕死でも攻撃をしかけることで逆に有利になることが多いのが面白いところだ。

(D)は、敵に「ダウン」をとらせないための選択だ。
ペルソナ4では、「防御」を選ぶと、弱点攻撃を1度だけ防ぐことができる(ダウンしない)。
ボスに「ダウン」を取られて、さらに追加攻撃を受けるのは致命傷になる場合があるので、「防御」も重要な選択の1つだ。「1more」を使うことで、攻撃をしてからの防御、という行動ができるのもペルソナ4の特徴。

「ダウン」とそれで発生する「1more(ボーナス行動)」の使い方を考えるだけで、通常のRPGとは違ったバトルが体験できることが多少なりとも伝わっただろうか。

大事なのは、敵の弱点を捜して、いろいろな攻撃を試すこと。

山崎まさよしも、こう歌っています。
「いつでも捜しているよ。どっかに敵の弱点。炎属性、氷属性、そんな弱点あるはずもないのに」

つまりペルソナ4において、"One more time"は、"One more chance"だということです。



「戦闘は確かに面白そう。でも、会う敵ごとに的確な弱点攻撃をして…というのが難しいし、めんどくさいなあ」

なるほど。ごもっとも。でもペルソナ4が本当におすすめできるのは、こういう問題がクリアーされてるからなんだよね。

【5時間目】 ナビゲーターが、らくらくサポート


ペルソナ4の冒険の舞台は、テレビの中の異世界。
その不思議な空間では、味方キャラの1人が、主 (プレイヤー) の生活すべてをサポートする、フォーマルな守護者として手助けをしてくれます。
このサポートのおかげで、冒険がらくちんになるし、戦闘の負担も軽減されます。
(昔を知るメガテンユーザーは「デビルアナライズ」の発展系と思ってくれたらいいでしょう)

■ダンジョンサポート
敵の姿や宝箱の位置を、マップ内に表示してくれます。
さらにゲーム後半では、戦闘が終わるごとに、HPやMP(ペルソナではSPといいます)も回復してくれたりします。

■戦闘サポート
例えば、戦闘中にはボタン1つで、かんたんに敵のステータスを見ることができる。
1度弱点が判明した敵なら、弱点属性が記載されているので、確認して、弱点攻撃をすればいい。

このサポート機能はゲーム進行にしたがって、さらに発展し、敵のステータスを見るどころか、敵にカーソルを合わせるだけで有効な攻撃かどうかを判別できるようになる。
攻撃が効かないなら×印が、反射されるなら「リフレクト」と表示される、といった具合だ。
これらのサポートがあることで「この敵は弱点なんだっけなあ?」と悩む必要も、攻略本を常に傍らに置いておく必要もない。

ペルソナ4には、さらに「声」によるサポートもある。この「声」の使い方がすばらしく、感動しました。

■すばらしい「声」でのサポート
ペルソナ4での「声」の使い方は大変すばらしい。
もちろん、イベントシーンで使われるのは今のゲームとしては当然のことだろう。
ペルソナでは、プレイヤーのサポートのためにキャラクターが良くしゃべる。こんな感じ(セリフ自体は適当ですが)。

戦闘開始時
「この敵には、火炎属性が有効だよ!」
と弱点を「声」で教えてくれる。

戦闘中
「○○(キャラクター名)が、毒を受けてるよ!」
「○○(キャラクター名)の、体力が危ないよ!」

など、今、キャラクターが何をされて、どんな状態にあるのかを「声」で教えてくれる。

戦闘後
「○○(キャラクター名)に、回復が必要だよ!」
と、戦闘後に必要な処置について「声」で教えてくれる。

「声」で、というのは重要で、よくゲームを知ってる友人に、後ろからアドバイスをもらってる感覚といえばいいだろうか。
私も戦闘後、瀕死なのを忘れて先へ進もうとして、「声」に気づかされて、あわてて回復させた、ということが何度もあった。
私はわりと声はどうでもいい人間だが、この使い方は大変すばらしい。きちんとゲームに貢献している。



【6時間目】 ペルソナ4おすすめポイントのまとめ


以上でガイドを終わります。

ペルソナシリーズは、女性やライトユーザーのファンも多いと思いますがが、そういった「このゲームを楽しみたい」と言うお客に対してのフォローが細やかで、その期待を全く裏切っていないから、安心してください。
「ゲームは得意じゃないけど、キャラとシナリオを楽しみたい」という人がちゃんとクリアーできるゲームになっていると思いますよ。

最後にポイントをまとめてみましょう。

ペルソナ4おすすめポイント
・魅力的なキャラクターと青春いっぱいのジュブナイルシナリオ
・すばらしい音楽。(通常戦闘が、ボーカル曲だったり)
・インターフェイスをはじめとした全体のデザインセンスの良さ


多分、この辺りがストレートで伝わりやすい、「最大の魅力」ともいえるポイント。

その上で、私が今回まとめたのが、実際にプレイしてみないと分からない長所。
「最大の魅力」をゲームで体験するためのポイント。

「ペルソナ4おすすめポイント」を楽しむためのおすすめポイント
・舞台は街1個のスモールサイズ。さらにボタン1つでらくらく移動。
・シナリオはメインとコミュに分割。サイドストーリーはクリアに関係ないのでお好みでどうぞ。
・ダンジョンは、迷うことなし。敵も見えているから、多い日も安心(敵が)。
・戦闘は、格闘ゲームのように駆け引きあり、緊張感ありでとっても楽しい。
・サポート機能が充実。戦闘もダンジョンも、らくちん。
・「声」のサポートあり。戦闘時や戦闘後のアドバイスで、ゲーム初心者も大事な情報を見落とさない。


ペルソナ4は、RPGレスだった私に見事2周目をプレイさせたゲームです(普通、私はやらない)。
キャラクターやデザイン、世界観、ストーリーを、きちんと満喫させてくれる作品であり、このゲームはそれを気持ちよくサポートするためにつくられています。

もし、あなたが、ペルソナ4のキャラクターやデザイン、世界観に魅かれながらも、「ゲームは苦手だしなあ」「RPGってめんどくさいしなあ」と感じて、プレイを1度あきらめたのであれば、もう1度プレイにチャレンジすることを考えてみてほしい。

その際に、私のガイドがあなたの心のどこかに響いて、
"One more time,One more chance"になればいいのだけれど。

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