僕は劇場に足を運んだ上に、DVDまで購入した人間だから、特に見る必要はない。・・・とかいいつつオープニングだけ見たりして。
で、見てるうちに一つ思い出した。
そういえば僕は劇場で見ながらイラついていたんだった。
「なんでこの女の名前を誰も呼ばない?」
「この女」というのは劇場版のゲストヒロインキャラ「エレクトラ」のことだ
↓バンダイビジュアル作品紹介ページ。
http://product.bandaivisual.co.jp/web_service/shop_product_info.asp?item_no=BCXA-0019
エレクトラは映画の序盤から登場するが、彼女の名前が「エレクトラ」と明らかになるのは、1時間ほど過ぎたあたりだ。映画の前半は名前がないまま彼女は画面に登場し続けたことになる。
事前に雑誌やサイトを見ていたので、彼女が「エレクトラ」だと知っていた。だから名前が分からないことにイライラしていたのではない。
1時間も名前を明らかにしないこと自体にイライラしていたのだ。
観客が映画の登場人物の名前を知るには、その映画内で人物紹介をしてもらう他ない。
観客に名前を伝える方法として、下の3つが良くあるパターンだろうか。
1)自ら名乗る。「はじめまして、○○です」 ※1人称ナレーションもここか。
2)誰かがその人の名前を呼ぶ 「おい○○!」「待ってよ○○」 ※第三者の意味でのナレーションも含む
3)テロップや劇中でのテキスト(TV画面や新聞の紙面など)での処理。
3)は視聴者に音声情報として伝えられないので、1)、2)よりは情報の価値は劣る。
※マンガでは当然、問題はない。
映像作品の登場人物は名前を呼ぶ(呼ばれる)ことによって、観客の耳に名前を伝えることが基本となるといえるだろう。
セリフで聞いた方が見ている観客も分かりやすい。
では逆に、人物の名前を早めに定着させないことの何が悪いのか?
A)早めに名前が出てこないと、観客が名前を覚えられない。
B)固有名が出てこないと、重要人物だと認識できない。
純粋に名前が出てきてくれないと人物と名前が結びつかない。
そしてもう一つの理由。
名前が出てこないと、物語中の重要人物だと思えない。
これは特にアニメで顕著で、生身の俳優だとある程度防ぐことができる。
木村拓哉の役名がドラマ中なかなか明かされなかったとしても、見てる方は「名前がないから、彼は重要人物ではない」とはもちろん思わない。
俳優自体がもつ存在感やランクで、重要な人物かどうかは観客は分かってくれる。
とはいえ、これもまた良し悪しで、火曜サスペンス劇場で、死ぬ役と犯人役が何となく分かるというのは、配置された俳優のポジションを考えると「死ぬ役しか」「犯人役としか」思えない人だと分かってしまうからだし、キャラクター(役柄・役名)覚えず、木村拓哉であることしか覚えないというのもあるな。キムタクはどのドラマでも木村拓哉でしかない。
マンガやアニメーションの場合、声優という要素はあるにせよ、セルや絵に過ぎないので、そのキャラクターが重要なのか、そうでないのかを判断しづらい。
だからこそ重要なキャラかどうかを判別するのは「名前があるかどうか」だ。
マンガの学園ものなどが分かりやすいかな。クラスメイトの中でも「名前持ち」と「名前無し」のキャラクターでは、明らかな差が存在してるよね。
「名前持ち」のキャラクターならば、早めに自分が「名前持ち」=重要キャラクターであること説明すべきだ。
しかもたった2時間しかない映画のゲストキャラともなれば、大急ぎで自分の名前をアピールして覚えてもらうしかないはずだ。
それを考えると、やはり「COWBOY BEBOP 天国の扉」でのエレクトラの観客に対する「裏切り」行為は理解できないわけである。
なぜこんなことになったんだろう?不思議だ。