"The world around you is not what it seems."
(あなたの周りの世界は、見えたままとは限らない)



Googleが提供する位置情報ゲーム「Ingress(イングレス)」。

現実世界をゲームフィールドにした、世界規模で行う陣取りゲームです。
私はプレイしてないのですが、話題になっていますね。

ある神秘的なエネルギーがヨーロッパの科学者チームにより発見されました。その力の起源や目的は未知ですが、研究者の中には、この力が我々の思考に影響を及ぼしていると考えている者もいます。我々はそれをコントロールしなければなりません。さもなければ、それは我々をコントロールするでしょう。

「エンライテンド(覚醒者)」はエネルギーが我々に与えるものを受け入れようとしています。
「レジスタンス(抵抗勢力)」は人類に残されたものを守り、保護するために戦っています。


このような設定の元、現実世界にゲーム世界のレイヤーが重ねられ、スマホ片手に歩きながら、拠点(=ポータル)を巡って勢力争いが繰り広げられているそうです。

「Ingress」やってないので分かりませんが、プレイしている人のことは「イングレッサー」と呼ぶのでしょうか?……イングレッサ?

ということは、北米ではイングレッサ・ミリシャとディアナ・カウンターが、肥沃なサンベルトの取り合いをしてるんでしょうか。してない。いや、してて欲しいのでしてることにする。
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そう考えていくと猛烈にプレイしたくなるのは、富野アニメ位置情報ゲーム。
我々が現実世界に仮想世界のレイヤーを重ねるなら、それは南米にジャブロー基地が存在する富野アニメ世界であるはずだ。
ノックスを崩壊させたいし、セントアンジェを探したいし、ウーイッグがどちらか訊きたい。

ポータルを探しながら色々歩いていたら、いつのまにか見たこともないマップが表示され、それがバイストンウェルだったりしてもいいんじゃないかな。
世界で限られた人間がオーラーロードを通って召喚されるような感じで。

世界中でプレイするためには、アニメに登場したスポットだけではとても足らないので、世界中をマウンテンサイクルにして、そこでモビルスーツなど黒歴史の遺物を発掘することにするのがよいかな。

良いマウンテンサイクルの採掘権を守りつつ、発掘していたらブラッドテンプルの頭部や謎の青い石、川村万梨阿のチャム・ファウ写真が発掘されたりするでしょう。
ゲーム的に設定された拠点ポイント(ドーム)に行くと、ポイントに換金されたり、最新ウォーカーマシンがもらえたらいいんじゃないかな。
そしてもちろん、「核」も掘り出されてしまう。

核を掘り出してしまったプレイヤーは、月まで捨てに行かねばならない。
というのは冗談ですが、何か取り合いが発生して、一歩間違えば夜中の夜明けになってもいいのかも知れないし、ジャブローで起爆することが選べてもいいのかも知れない。
その過程を『指輪物語』みたいなプロセスにしてもいいかも知れない。

アムロのように鉱山基地を破壊したけど無数にある鉱山のひとつに過ぎなかったように、世界中にマウンテンサイクルがあり、それを巡って争いが起これば、大変なことになるでしょう。
そのとき、ディアナ・カウンターのリーダーと、それに敵対するイングレッサ・ミリシャ側の少女が、持ち前の茶目っけで、こっそりGoogleアカウントを交換していたことを、そしてそれがこの争いを終結に導くことを、誰も、当の本人たちさえも知る由もなかった。

ちなみに私は行儀よく真面目なんて出来やしないので、世界中のドームを襲撃して壊してまわりたいと思います。




そのシビリアン、凶暴につき


「襲撃」といえば、『戦闘メカ ザブングル』を北野武監督で実写化する妄想。
出演者として、主人公ジロン・アモス役に、ねじめ 正一。ではなくビートたけし。(あの格好します)
アイアンギアの面々に、たけし軍団。
彼らは、フライデー……金曜日にイノセントのドームに殴りこみをかける。
盗まれるウォーカー・ギャリア。破壊されるレンジローバー。
「だ、誰か、あいつを止めなさーい」と叫びながら彼らを追う、イノセント役の明石家さんま。
にやりと笑いつつ、一足先に逃げ出すティンプ・シャローン役の大杉漣。

とりあえずダンカンは、サンドラットの一員が似合いすぎると思う。(ダイク的な意味で)
エルチは岸本加世子でいいんだろうか。ホーラは誰がやればいいんでしょうかね。最初、三田村邦彦と思ったんですが、いっそ福山雅治とかがやればいいんじゃないかという気もしてきました。

メガネキャラのコトセットはどうしようか。主演ビートたけしを踏まえて、松方弘樹にする方向もあるけれど、そうなると自動的にブルメが高田純次になって、トロン・ミランが「ゆきねえ」こと兵藤ゆきになるけどいい? 悩みの相談、兵藤ゆき。(西日本番長地図)

ちなみに私の実写版『ボトムズ』脳内キャストは、ル・シャッコを大杉漣にしたことで、キリコが小野寺昭。フィアナが夏目雅……瀬戸内寂……前田美波里。ロッチナに大和田伸也となっています。
そして、イプシロンに近藤正臣。
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俺の『エルガイム』に確かなものが何にもないわけがない。(電撃文庫)


さて前置きはこれぐらいにして。前置きが長い?知らない。わたしは私の道(マイ・ロード)をゆく。


Twitterで見かけた、あでのいさんと、おりたさんの『重戦機エルガイム』話。
私も『エルガイム』好きではあるんですが、これを見てふと、どういう可能性があったのだろうかと色々考えてしまいました。
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その昔、土曜17時半の時間帯はロボットアニメ枠でしたが、その中で特に『戦闘メカ ザブングル』から『機動戦士ガンダムZZ』までは、富野監督作品が5年間連続で放送されるという状況でした。
まさに「富野、富野、雨、富野」という感じで大連投され、「富野由悠季ランド」が毎年開園されておりました。すると制作状況はどうなるのか。


Twitterで教えて頂きましたが、やはりかなり大変な状況だったようですね。

こうした当時の『エルガイム』の制作状況など外部状況はひとまず置いて、話をしますが、これは現在から過去へ向けた「この方が面白い」「こうするべきだった」という話ではありません。いつもこのブログで行っている、可能性を検討する「感想戦」みたいなものです。

ジャコバの水晶球に映る「ゆるい」世界


監督ご本人も話していたと思いますが、主人公ダバ・マイロード君に問題があることはありますね。
ただ、私はダバをいじるよりは、彼が置かれることになる物語状況の方を検討した方がいいんじゃないかという気がします。

例えば、立身出世を目指して出てくる有望な若者が主人公ダバとそのライバル、ギャブレット・ギャブレー以外にもっとたくさん出てくるのも面白いかも知れない。

それこそ五つの惑星を擁するペンタゴナワールドなので、ダバクラスの若者がそれぞれの惑星から、それぞれの目的と手段で出てくるとか。

ある者は経済的に立身出世を目指し(打倒アマン商会)、ある者はポセイダル圧政下でのジャーナリズムに命をかける。そして、ある者は宇宙海賊として乱世を望むがゆえに反体制で暴れまわる。
そして、その中のひとりとして、滅ぼされたヤーマン王家の血を引き、復讐に燃える若者(ダバ)もいる。

幕末みたいに色々なタイプの立身出世の若者がいた方が楽しいし、主役リソースを準主役級に分散しての主人公ダバ・マイロードなら、あの都会ぶったシチューのような薄さがちょうどよくなるかも知れないね。
ダバの魅力を無理に付け足そうとするのではなく、英雄の魅力を複数人で分散して受け持つなら、ダバはむしろあのままでもいいかも、ということです。隋唐演義みたいにならんかな。

ステラ・コバンとジェネラル・クロソを合わせたような感じで、王家の末裔と偽って人心を集めて反乱軍をまとめあげる若者と、実際に王家の血を引くけどそれを隠したまま反乱軍に参加するダバみたいな感じにして、対比させながら進めていくのも楽しいかも知れない。
生まれながらの背景を持つもの、持たざるもの、どちらがリーダーにふさわしいのかも含めて。

宇宙に立場の違う主人公格がたくさんいるパターンだと『ディーヴァ』(T&E SOFT)になるかも知れない。その場合、最終的に目指す惑星はガストガルではなく、ナーサティア双惑星になりますね。
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こうした群雄割拠型の方が、登場人物がみなダバの方を向いている(でもダバ自体にそんなに魅力はない)という状態が解消される気がします。

ダバの親友ミラウー・キャオなんかも初期は、ポセイダル軍入って出世する!みたいに考えていたので、ギャブレーと組んだり、他にやりたいことが見つかって独立したり、ダバ依存を解消した方がより魅力的になるかも知れない。

一部の世代にしか通用しない例えかも知れないが、マンガ『F』における、主人公・軍馬に対するメカニック・タモツにするというか。
ダバの欠点や限界も分かった上でサポートしたり、自分の目的のために離れたりできるようなキャオ。
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また『エルガイム』はどうしても『スターウォーズ』変奏曲という面も強いのですが、ひとつのパターンとして「貴種流離譚の復讐劇」を強調する方向があると思います。
多分、それを突き詰めると『コードギアス』的なものにつながっていく。ていうか、さっき実際に脳内でつながりました。
敵方には、十三人衆(ナイトオブラウンズ)もいるよ。
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確かに『エルガイム』から見て、『コードギアス』は貴種流離譚の復讐劇パターンとしてのひとつの答えだと思います。しかし、これは方向性のひとつでしかありません。

『エルガイム』は、田舎の若者が都会で就職しようと上京するけれど、就職先の企業やそこにいる大人がろくでもないので会社を転々としたあげく、仕方なくベンチャーの社長になるような話でもあります。
僕らはどこに就職したらいいの?どの大人についていけばいいの?大人の支配から逃れる術はないの?という話ではあるとは思うので、その方向で膨らましても面白いかなとも思います。
ダバはやりたくて代表取締役になるわけではないうえに、結局、悪い大人(アマン商会)の融資を受けないと会社を維持できなかったりするのですが。

中島敦『悟浄出世』ではないですが、ダバがポセイダル軍を始め、ゲリラや反乱軍、平和運動組織など、とりあえず経験してみようと、いろんな団体・組織に入ってみるけれど、そこにいる大人を見て、なるほどみんな大人がどんなものか分からないけど、分からないなりに大人の顔して大人をやるのが暗黙のルールなんだと気づいていく一話完結性が強いものとか。

あとは『エルガイム』の先にあるものとして、『∀ガンダム』を見ても面白いのかも知れない。
永遠の女王が退位する物語として。ディアナ・ソレルは、ポセイダル(ミアン)、女王マリア(Vガンダム)と違って、もともと男性の傀儡ではないけれども。
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『ザブングル』『ダンバイン』そして『エルガイム』と、土曜17時半の大連投が生んだオリジナルロボットアニメ群は、その制作状況からも充分満足のいくものが出来たとは言い切れないのですが、その成果は『機動戦士Zガンダム』へつながっていきます。

特に『Z』直前の『エルガイム』と永野護の存在は大きい。
ペンタゴナ・ワールドは神様が3人いて混乱するし、何かと「ゆるい」。それは確かです。
けれども私は、永野護にビジュアル面を全て任せるのが許されるような「ゆるい」世界が、あのタイミングに生まれて本当に良かったと、こころから思っています。
それがビッグプロジェクト『機動戦士Zガンダム』制作のための捨て駒としての産物だとしても。
その後を見て分かるように、やはり『機動戦士ガンダム』の世界ではそれが許されなかったから。




Google検索のサジェストに「ベルトーチカ うざい」と表示されてしまう件


さて、『エルガイム』の後番組『Zガンダム』で登場した、ベルトーチカ。(埼玉県入間市出身)
声は『エルガイム』のガウ・ハ・レッシィ役であり、永野護夫人でもある川村万梨阿さん。

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ベルトーチカは場合によって「宇宙世紀三大悪女」に数えられることがあるほど、世間的には何かと嫌われたり、うざがられたりしているようですね。

私はわりと好きだったりします。
嫌う気持ちも分からないではないですが、物語中の役割もあって、あのキャラクター、あのデザインだと考えています。

そんな彼女の最大の仕事は、カミーユに対して「アムロにガンダムMk2を譲れ」と言ったことでしょう。

ベルトーチカ「もう慣れた? ガンダムMk2」
カミーユ「ええ」
ベルトーチカ「どれだけ実戦を経験したかが物を言うのよね、モビルスーツ戦は」
カミーユ「何が言いたいんです?」
ベルトーチカ「率直に言うわ。アムロさんにMk2を譲らない?」
カミーユ「ええっ?!」
ベルトーチカ「あの人の方が有効にMk2を扱えるわ」
カミーユ「アムロさんがそう言えって?」
ベルトーチカ「まさか! でもガンダムに乗らないアムロ・レイなんて、おかしいと思わない?」
カミーユ「どいてください!」
ベルトーチカ「アムロさんは一年戦争の英雄なのよ? 英雄には、英雄に相応しいマシンがあるはずよ」
カミーユ「僕には相応しくありませんか! Mk2は?」
ベルトーチカ「あなたのことを問題にしてるんじゃないの。あなた、アムロが嫌い?」
カミーユ「まだ好きにはなれませんね」
ベルトーチカ「これはアムロの為になることなのよ。もっと自信を付けてもらう為には。カミーユ!?」
カミーユ「それはあなたの同情ですね! そんな哀れみは、いつかアムロさんを殺すんじゃないんですか?」

第17話 「ホンコン・シティ」より (台詞はこちらから引用させて頂きました)


「ガンダムに乗らないアムロ・レイなんて、おかしいと思わない?」

これは単なる兵器としての「ロボットの乗り換え提案」ではありません。
『ガンダム』続編として、物語として、主人公の座をよりふさわしい者に禅譲したら?という提案です。

富野アニメでは視聴者が考えるようなことを先回りして作中で処理しておくことが良くありますが、このシーンもそうしたひとつで、彼女が言わなければ、この台詞はいずれ視聴者が言うことになったはずです。

前作主人公アムロ・レイが続編である『Zガンダム』に再登場した以上、作中で誰かが言わないといけない台詞なのですが、外部から来た空気を読まないキャラクターとしてベルトーチカが言うことになりました。
このシーンは恐らく、彼女が嫌われる理由のひとつになっているでしょうが、必要なプロセスであると私は思っています。

ただベルトーチカが言うように「英雄には、英雄に相応しいマシンがあるはず」というのは、子供だった私も思っていました。
なにしろ『機動戦士ガンダム』の主人公アムロ・レイが復活して、再び戦うわけです。
「僕がいちばん上手くガンダムを使えるんだ」と自負し、実際、最高に上手く使い切ったアムロがです。
しかし、ガンダムはMk2の一機しかありません。さて、誰がガンダムに乗るべきなのか。

ちなみに第17話 「ホンコン・シティ」の前には、カツ・コバヤシがガンダムMk2で無断出撃してピンチになる回(第15話「カツの出撃」)もあり、伝説のホワイトベースで、アムロと一緒に一年戦争を生き抜いた子供でもダメという前振りがされています。
下手するとベルトーチカよりよほど嫌われているカツですが、その経歴からいえば、普通のアニメなら主人公としてガンダムに乗っても不思議ではありません。でもカツはガンダムに乗るために生まれたキャラクターではないのです。
カツがダメなんだ……というのは、リアルタイムにカツより年下の子供だった私にはそれなりに衝撃だったと思います。

カミーユを主人公と認めた日


個人的な記憶では、子供時代にリアルタイムで『Zガンダム』を見ていたとき、ここまでのカミーユ・ビダンはどうしても難しい子というか、ナイーブでとっつきづらい子ではあったので、主人公(つまりガンダムのシートに座るもの)として、そこまで受け入れていなかったと思います。

子供の私から見ても、アムロの方が気難しくないし、ガンダムの操縦が上手くて経験も豊富だし、何より前作『機動戦士ガンダム』でアムロをずっと応援してきたわけで、思い入れもあります。
アムロの方が主人公として、ふさわしいかどうかは別として、心理的な抵抗がなかったと思います。

そうした個人的な前提があった上で展開された、「ガンダムを譲れ」のシーンです。
そう!ガンダムと言えばやっぱりアムロだよ!

アムロへガンダムを譲れ、と迫るベルトーチカ。

不快感を露わにして拒むカミーユ。

そしてなぜか、それを見て「カミーユ、Mk2を譲らなくていいよ!」と思う子供の私。……あれ?

ガンダム主人公による「俺がガンダムだ」の正しさ


大人になった今の私がまず思い出すのは、このブログで多用する、相田みつを先生のお言葉です。

「Zガンダムはねぇ カミーユのために この世に生まれてきたのでないんだよ Zガンダムがさき カミーユはあと」

玩具メーカーのコマーシャルフィルムだった時代のロボットアニメは、その性質上、ロボットの登場は大前提として運命づけられています。(ロボットがさき)
キャラクターや物語・世界観は、ロボットを魅力的な存在にするために産み出されたものです。(キャラクターがあと)

カミーユ、もちろんアムロもですが、モビルスーツ・ガンダムに乗ることを前提としてつくられたキャラクターです。
その逆、カミーユというキャラクターをかっこよく描くために検討された結果、巨大ロボットが選ばれたわけではありません。

ガンダムは主人公キャラクターを必要とし、主人公キャラクターはガンダムを必要とする、と書くと、共依存みたいですが、実際にカミーユがガンダムから降りてしまうと、キャラクターとしてのそもそもの存在の拠り所を失います。
アムロの方がガンダムの操縦が上手いとか、そういう問題ではなく、カミーユ・ビダンはガンダムに乗り、戦い続けなければカミーユ・ビダンとして存在できません。(そして最終的にああなりました)

ガンダムに乗れない子供であることを証明したカツ。
乗れるのにガンダムに乗ろうとしないアムロ。
そのアムロをガンダムに乗せようとするベルトーチカ。
それを拒むカミーユ。

それぞれが正しいスタンスによる、必要なアクションをとっていると思います。

その中でも特にベルトーチカはなかなか損な役回りをしているのですが、前主人公アムロをガンダムに乗せようとして現主人公が断る、というプロセス自体は絶対に作中でやっておくべきだったと私は思っています。

そのためには、本当に番組を見てる子供ぐらいの空気の読まなさで、「Mk2はアムロが乗ればいいのに」と口に出してしまうような人が必要なんですよね。

これらを踏まえて改めてベルトーチカを見ると、最初にアムロに会った際に「ニュータイプといっても普通ね」と思ったことそのまま言ったり、クワトロに「平和なインテリジェンスを感じない」と、全く正しいけど、その場のメンバーには絶対口に出せないことを言ったり。
率直にものが言えるキャラクターとして最初からデザインされています。

その一方で、若いベルトーチカを批判させるに最もふさわしいであろうミライさんを登場させて、たしなめさせてもいます。

ミライ「ベルトーチカ、急いではダメよ。人と人の関係なんて、おんなじよ。時間を掛けてゆっくりとわかっていくものよ」


さすが! ミライさんの言うとおり! と、思ってくれれば、この台詞の価値はさらに増します。
まだ若く率直すぎるベルトーチカをきちんと批判できるアンチキャラクターを配置することで、作中でのバランスはある程度、とられているのではと思います。

とはいえ、ベルトーチカが嫌われてしまうにはそれ相応の理由があるのでしょうから、そう思うことを悪いとは全く思いません。
ただ、彼女はきっちりと役割果たしているので、良いキャラクターだなと私は思います。
アムロのお尻を叩き、奮い立たせる金髪キャラとして登場するところも含めてね。

以上。
今回は、誰かが口にすべき「ガンダムに乗らないアムロ・レイなんて、おかしいと思わない?」を作中で言ってくれた女性。かしこい、かわいい、ベルトーチカさんのお話でした。

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ベルトーチカ余談。
当時、子供の私が読んでいた雑誌(ボンボンなど)で事前にアムロが乗るモビルスーツが「ディジェ」だったと知っていた可能性はあると思います。さすがにこのシーンの前にそれを知っていたかどうかの記憶はありません。
ただ事前に知っていればなおさら、「えー、アムロってガンダム乗らないの?」と子供は単純に思うはずなので、「ガンダムを譲れシーン」はそれでもやる意味はあったんじゃないかな。

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