あけましておめでとうございます。
というのも、そろそろ通用しませんが、毎年恒例の当ブログまとめ記事です。
通常年末ですが、今年は大晦日に『Gレコ』記事を投稿したため、やむなく年明けとなりました。

2014年に書いた記事数は、7本。今年もセレクトするような数ではないので、全て紹介します。
記事数は少ないですが全て長文なので、キルタイムな意味でそれなりに読み応えがあると自負しています。
当ブログの記事でキルタイムして、感想をコミュニケーションしてみませんか。(ツッコミ禁止の女王)




2014年 『Gレコ』が始まり、2015年『Gレコ』が終わる


2014年のビッグニュースはなんといっても、富野由悠季監督によるTVアニメーション作品『ガンダム Gのレコンギスタ』がスタートしたことでしょう。

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今よ!レコンギスタドール。再征服の狼煙を上げろ<『ガンダム Gのレコンギスタ』放送枠発表などあれこれ>

『Gレコ』放送開始前に書いた記事。出オチと言われても否定できない。
今見直してみると、放送枠が深夜になったことにショックを受けつつも、何とかそれを受け入れるようになった時期のようですね。今でも「事故可能性」の面から、口惜しい気持ちはありますが、作品自体は面白いわけですから、あとはこれからの私たち次第かな。

『Gレコ』で描かれる新世界と描かれない旧世界 <『ガンダム Gのレコンギスタ』ショート感想集>

こちらは 『Gレコ』放送開始後の記事。
Twitterでの感想ツイートをまとめたものですが、豪華ゲストを(勝手に)お招きしたことで、にぎやかになりました。
ツイートベースなので、話は短くて雑多ですが、いつもめんどくさい長文なので、こういう方が読みやすくてたまにはいいかも知れません。

ファンを名乗りながら2記事しか書いてないのは、精力的にすばらしい記事を書いている方々がいる以上、怠慢以外の何物でもありませんが、他の作品同様、これから先の人生ある限り、私はこの作品を愛していくと思いますので、長い目で見て、お許し下さい。

ロボットと世界とキャラクターと


それでは続いて 『Gレコ』以外の富野アニメ記事。

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サイコな彼女とガンダムな僕。出会いは拡散メガ粒子砲<キャラクターとしてのモビルスーツ>

ガンダムシリーズに登場するロボット兵器といえば、「モビルスーツ」。
私は、ミリタリー的な知識もないし、ガンプラも酒もタバコもやらないつまらない男なんです。
そんな私にとって、モビルスーツはまず第一に物語内に登場する「キャラクター」だったりします。

記事では、ガンダムMk2とZガンダム、サイコガンダムを始めとした巨大モビルアーマーたち、そしてアムロとシャアの愛の結晶としてのνガンダムあたりを扱います。

カミーユにMk2を譲れと迫る、ベルトーチカの必然 <『Zガンダム』と『エルガイム』の主人公たち>

ベルトーチカさんは、カミーユに対して、ガンダムMk2のシートをアムロに譲れ、とストレートに言った人物です。
こうした、はっきりとした言動から、嫌われることも多い彼女。
私は、ベルトーチカが損な役回りを引き受けて、大事な仕事をしてくれたと思っているので、わりと好きだったりします。

ベルトーチカ以上に嫌われているカツ・コバヤシも、私は大事な仕事をここでしていると思っています。
私は、ファースト放送当時、カツと共にアムロの戦いを見守り、応援していた子供だった。
そんな私に、7年後の現実として、カツがカミーユのMk2に乗り込み、そして失敗する姿を見せたことには意味があったと私は思う。

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ウォーカーマシンとリアリティのハンドリング <『戦闘メカ ザブングル』が生んだ「フィクションチャイルド」>

『ザブングル』はよく「ハンドルで操作するロボット」というコメディな面をいじられがちなのですが、「ハンドルロボット」であることに意味はあるよ、そして、主役ロボット「ザブングル」と、主人公「ジロン・アモス」の共通点とは?という話。

この記事を書くにあたっては、あでのいさん(@adenoi_today)のツイートまとめが、きっかけになっています。非常に面白いまとめなので、一読をおすすめします。

「新セーラームーンはリアリティが無い」という暴論。あるいはSEEDとザブングルどっちがリアルか問題
http://togetter.com/li/695141

あでのいさんはその後、ブログを開設し、精力的に 『Gレコ』の記事を書いていらっしゃいます。

銀河孤児亭
http://d.hatena.ne.jp/adenoi_today/

ブログは、バズったTogetterに比べれば、単純なPVという意味では取りづらいと思いますが、現在の人々だけでなく、後年に『Gレコ』のことをもっと知りたいと思った未来の視聴者に対して、有益なものになるでしょう。
これは『Gレコ』の情報や魅力がたっぷり詰まった「未来の子供たちへの遺産」です。

だから私が、あでのいさんや他の富野作品のブログを書いている方に望むことは、インターネットからその遺産を消さないでということです。
例え更新が停止してもそのままで。仮にブログサービスが停止することがあってもエクスポートしてでも存続させて欲しい。
皆さんそれぞれ事情があることですから、もちろんこれは私個人の単なるわがままでしかありません。
未来のためとか言ってますが、私自身がいつまでも読んでいただけなんだろうな。いや建前は大事だな。
今後もこの建前で、私は富野作品ブログの存続を願い続けます。

戦車道のテレビ中継に実況とアナウンサーは必要か


富野アニメ以外の記事。主に『ガールズ&パンツァー』と『ウィッチクラフトワークス』の水島努監督まつりです。
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『ガールズ&パンツァー』の情報コントロールと『ウィッチクラフトワークス』のボンクラ☆アクティビティ<他2本>

『ガールズ&パンツァー』については、戦車道というスポーツの伝え方、主にその抑制について。そして、多数登場する戦車を受け入れてもらうための情報コントロールについて。

『ウィッチクラフトワークス』については「ボンクラ」をキーワードに、憎しみの連鎖から脱却するための方法のひとつ「忘却」について。非常識とか当たり前だぞ、ブログを書くなら好き勝手。
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高橋留美子が与えた、物語の結末


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通過儀礼を終えたあとの一刻館で、2人は生きていく<『めぞん一刻』感想戦>

マンガ『めぞん一刻』の主人公五代と夏子。……否、響子。あと正確には、夏子はんの苗字は伍代。
五代夫妻は、物語が終わっても、その舞台であった一刻館で暮らし続けます。
しかし果たしてそれで良かったのか? 2人は最後に一刻館を出て行くべきだったのではないか?
物語をどう終えるべきなのか。そして、物語に対してどういうスタンスをとるべきなのか。ということを考えた記事です。

「物語の正しさ」を語る記事にならないように注意を払いました。
2014年で最も苦労して書いた記事です。もちろん楽しんでも書きましたけどね。
こうした配慮をしつつ丁寧に記事を書くのは、めんどうな割には地味なので、内容や質にもよりますが、かけるコストの割には注目を集めないかも知れません。もっと雑な感じで断言していく方がPVを集めるという意味ではきっと良いでしょうね。
でも「その道を選ばないのが知性」だと、私も思っているので、今後も選ばないでしょう。





2014年の記事は以上です。

普段あまり、自分の記事やブログ自体のことに言及しないのですが、1年に1回この記事のときぐらいはいいかな、と思って少し意識的に書いています。

もちろん別にいつどこで自分のブログについて書いてもいいし、神様は何も禁止なんかしてない。
いや単に恥ずかしいんですよね。ろくに活動もしてないのに、色々語るのが。

それを踏まえた上で。量は少ないながらもある程度長い時間、ブログを続けてきて思うこと。
それは、自分が書く記事は誰もが読むような記事ではないけれど、読んでくださる方がある程度は確実にいるということ。
個人的な感覚では、はてなブックマークで、20ブックマーク前後。
これが私がきちんと書いた記事で頂くことができるブックマーク数の最大値だと思う。
これ以上のブックマーク数になった場合は、タイミングや影響力のある宣伝などすべて外部の力で、内部の力では多分ない。

これはけして謙遜でも悲観でもなくて、私自身が面白いと思うようなことを思うままに書いて、それぐらいが最大値というのは十分です。十分ありがたいし、読んで頂くべきひとに十分行き渡った証拠と思います。

2015年も自分の興味のあることを幾つか書く、多分それだけでしょう。
それがどなたかに楽しんで頂ければ、それに越したことはありません。

というかですね。『Gレコ』が終わった2015年をまだ想像できないので、どうなるか分からないですね。
どうにもこうにも。にっちもさっちも。ミックもジャックも。

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今回はTwitterでのネタをベースにした、まとめ記事です。
異なる話題を雑多……バラエティ豊かに取り揃えておりますので、全部読まずとも気になるパートだけ読んで頂ければ結構です。

興味をひかれるような、気になるパートなど無い!……ですって?

もう一度、よく記事を見てください。Dang Dang 気になってきませんか?
修行僧ですら、Dang Dang 気になって「修行してる場合じゃねえ!」とお寺の塀を飛び越えてくるほどであると、東西新聞文化部の記事に書いてあったという夢を先日、見損ねた気がします。
(「バカなの?」って訊けたら、いいのにね……)

ちなみに究極のメニューのひとつである高級スープ、ファッチューチョン(佛跳牆)。
死ぬまでに、ぜひHong Kongあたりで食べてみたいですね。食べた瞬間おいしさのあまり、King Kongのように高層ビルによじ登って、これが好きだと叫びたい。離さない 揺るがない Crazy for soup.

それでは究極のメニューをどうぞ。
(言いたいことは全部言ったので本編スタートです)

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みんなあつまれ!富野アニメ学園


モビルスーツをキャラにして今の深夜アニメっぽくしてみる(企画書)
http://tominotoka.blog.so-net.ne.jp/2014-04-16

いつもお世話になっている坂井哲也さんのこの記事を読んで、頭に浮かんでしまったネタ。

私は「富野アニメ作品自体の擬人化」ということでやってみよう。
ロボットではなく作品の擬人化。とりあえず片っ端から少女化させていき、富野学園に入学させよう。

みんな集まれ! ファルコム学園 (ファルコムBOOKS)みんな集まれ! ファルコム学園 (ファルコムBOOKS)
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新久保だいすけ

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そうなると『機動戦士ガンダム』はモビルスーツ少女ではなく、ファーストお姉様を頂点としたガンダム姉妹ということになるんだろうけど、作品ごと世界が違う方が面白そうなので、そっちに注力しよう。
  • お日様が出てるお昼に元気なダイタン子先輩と、月の光は攻撃のメッセージなザンボッ子先輩。

  • ずっと自作ファンタジー小説を書き続けるダンバイン子ことバイストンウェル子。名前は、石井戸ほとりといったところか。

  • 3日で全て忘れる雑なザブングル子は女の子。名前はジャンフランコ・ゾラ子……いや、素直に考えると青石閃子(あおいしせんこ)みたいな感じかな。ブルーゲイルとブルーストーンと二重にかけて。

  • いや「風か、嵐か、青い閃光」の歌詞と、ザブングルが2機あることを考えれば、風香(ふうか)と嵐香(らんか)の双子にした方がいいのかも知れない。ひとりはツインテールで、ひとりはショートヘアとかになるのかな。

  • エルガイム子は軽音楽部に入るしかないのか?と呼びかけても返事がないけど、優しさが生きる答えならいいのにね。

  • いつも肯定してくれるブレンパワー子と、いつも親や先生から逃げてるキングゲイナ。

  • そして『ジャイアントロボ』におけるビッグファイア様の位置に、3年生徒会長、海野トリトン先輩。

  • 主人公は、富野学園に入学したての新入生男子、レコンギス太。

  • で、毎回、イデオン子のイデ発動オチで終わる。

こんな感じに。

富野作品擬人化アニメ第一話

学校へ走って登校する少年。
レコンギス太「みんな、おっす!オレ、レコンギス太。今日から富野学園の1年生。どんな学園生活になるか楽しみだぜ。おっと遅刻しそうなんだった。急がなきゃ!」
しかし、その先の曲がり角で、少年は女生徒とぶつかってしまう。
レコンギス太「あ、あぶねえ!」
イデオン子「キャ!」

――そのとき、イデが発動した。

<第一話・終>


イデオン子の名前は、そのまま井出温子(いであつこ)とかでいいと思う。
巨大な身長で、自分のルックスにコンプレックスがある地味委員長みたいにするしかないな。
クラスで発生した大騒ぎやケンカをおさめようとするができず「もう、みんな。いい加減にしなさーい!」と大声を上げて、ケンカ両成敗的に全員を因果地平に飛ばす。という大変、雑な処理を得意とする。

まあヒマつぶしとして無理やり語呂合わせの名前を考えたりしてますが、基本的にイデオン子とかのままでいいと思ってるんですけどね。
昔、車マンガの擬人化考えてたときの「頭文字D子」と「よろしくメカドッ子」「シャコタン☆ブギ子」みたいな感じで。

ちなみに末弟レコンギス太は、この名前で出生届出されてますので本名です。ギスギスネーム。

『機動戦士Zガンダム』最強キャラクターは誰か?


ゲーメスト誌でおなじみ格闘ゲームの対戦ダイアグラム。
キャラクター同士の有利不利を数値化した表で、全体の有利不利を集計することでゲーム内でのキャラクター序列も分かる優れもの。ある世代には大変なじみ深いものであるはずです。
パッと見には数字でびっしり埋まった表でしかないが、ニヤニヤ眺めて楽しめたりします。

詳細は、Wikipedia:対戦ダイアグラム でもご覧ください。

身近なダイアグラム―User‐Friendly Diagrams魅力的で親しみやすいグラフ・地図・チャート・図説・表組を特集身近なダイアグラム―User‐Friendly Diagrams魅力的で親しみやすいグラフ・地図・チャート・図説・表組を特集
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昔、この対戦ダイアグラムを『機動戦士Zガンダム』の登場人物で作成したことがあります。
もちろんZガンダムの対戦ゲームなど当時存在していないので、あくまでキャラクターを使った遊びに過ぎませんが、友人達と酒を飲みながら、あーだこーだ言いながら適当に作り、酒の肴としては楽しめました。

ただキャラクター選抜は無茶苦茶でしたね。確かメズーン・メックスとかいたし。
メックス君とハマーンの対戦でどっちが有利不利とか、完全に謎ですよ。空手補正がどう影響するかを検討するしかないよね。

このように、ありえないキャラ同士の対戦パターンも続出するため、その場のノリと適当なさじ加減で、各対戦の有利不利を決定していきました。

そして表が完成し、ポイントを集計。
はたして「Zガンダム対戦ダイアグラム」での最強キャラは誰なのか?ハマーン?シロッコ?
ところが総合ランク1位には、作成した我々にも意外なキャラクターが浮かび上がった。

それはアナハイム・エレクトロニクス会長にして、エゥーゴのスポンサー。
メラニー・ヒュー・カーバイン会長、その人だった。

「メラニー・ヒュー・カーバイン会長ちょうつえー」と当時、友人たちと感服し、そして納得した。

お前らのさじ加減ひとつやないか!と言われそうですが、無意識(適当)に採点した結果がこれであることこそが重要で、やはり資本家。資本家こそが最強キャラですよ。

昔すぎて作成した表なんて残っていませんが、やっぱりエゥーゴキャラ全員との対戦全て有利というのが強キャラの所以か。
会長に対抗できそうなキャラであるジャミトフはその点、身内のシロッコに刺されとるのがランクを下げる要因となっています。

ちなみに我らがクワトロ大尉はかなりの弱キャラだったと思う。
有利な対戦があんまり無いというか、各方面から殴られすぎ、失敗しすぎ、裏切られすぎ、その年齢でノースリーブ着すぎ、正体バレバレなのにしらばっくれすぎ、サボテンが花をつけすぎ、大気圏突入に余裕見せようとして余裕なさすぎ、キュベレイに密着してアムロの真似してみたけど惨殺されすぎ、などの理由により、ランクはかなり下だった気がします。

当時は劇場版である『新約Zガンダム』は存在してませんでしたが、ケーキ食べ損ね、セクハラ疑惑なども追加され、もうコイン入れた瞬間にゲームオーバーになるレベルで弱体化する恐れがあります。

この対戦ダイアグラム遊び。
富野アニメの他作品、例えば『F91』や『Vガンダム』あたりでやってみるのも面白いと思います。
『イデオン』対戦ダイアグラムも多分面白いな。キャラランクは当然、1位がイデで、2位がメシア、3位がパイパー・ルウと思いきや、恐らく1位はイデ発動のタイミングすら左右するスポンサー……とかいうと、富野アニメ全部のダイアグラムが狂うので無し。使用禁止キャラ。(そもそもキャラじゃない)

『ガールズ&パンツァー』の情報コントロール


ハートフルタンクストーリーこと『ガールズ&パンツァー』。
本放送で楽しみましたが、BSで再放送しており、久しぶりに最終回までを再見しました。

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改めて思うのは、情報のコントロールが見事だなあ、ということです。

私はミリタリー知識などが全然ないので、軍事的なことや戦車については全然分かりません。
逆に全然分からないからこそ、戦車とそれを使った架空のスポーツ「戦車道」について観客にどう情報を与えるか、という点がこの作品を最も評価するポイントになります。

例えば、この作品ではスポーツ系の作品でよくみる、実況&解説を置いていません。
他校のライバルたちにコメントさせたりはしていますが、便利に使えるはずの公式実況と解説者を使っていませんし、そもそも説明用のリアクションも抑えめになっていると思います。

例えば私が『ガールズ&パンツァー』みたいなアニメを想定するとしたら恐らく、実況&解説を置く欲望にかられるでしょう。

私は戦車だけでなく麻雀も知らない人間ですが、そんな私が『咲-Saki-』を楽しめているのは、公式実況や応援も含めたコメント、プレイヤーたちの豊かなリアクション、エフェクトなどの演出の力が大きいと思います。

私は戦車が分からない。しかもその戦車を使って、みんなの知らない架空のスポーツをでっち上げないといけない。知らない人間だからこそ、余計に(安易に)その必要性を感じてしまうはずです。

それでも『ガールズ&パンツァー』は便利な実況&解説は使わず、無知な私に十分に戦車と戦車道の魅力を伝えてくれました。

戦車の見た目に関するコントロール


『ガールズ&パンツァー』は作品の性質上、大量のキャラクターが登場します。
しかし、生徒会チームとか歴女チーム、バレー部チームなど戦車単位で1つのキャラクターになるように設定されていましたので、各キャラクターを個別認識しなくて良いようにしていました。

ただ問題は戦車そのものでして。
私は乗用車の車種も全然違いが分からないタイプで、戦車も正直、何が何だか見分けが全くつかない。
要するに、ガンダムとシャアザクとザクぐらい見た目が違ってないと、分からないような人間なわけです。

それに対して、実況アナウンスを使ったり、カットインを使ったり、本編でも危ないと言われた戦車から体を乗り出す、などいくつか方法がありますが、『ガールズ&パンツァー』は戦車自体も改造しています。

初期の話数で、戦車をピンクや金ピカにしたり派手なカラーリングにするだけでなく、「バレー部」とペイントしたり、六文銭の旗さしたり、ミリタリー好きの方が顔をしかめるような改造を施していました。

それについては、劇中の戦車マニアである秋山殿に「こんな改造するなんて!あんまりですよねえ?」と抗議を代弁させています。しかし、強豪・黒森峰女学園ではありえない改造戦車を見た西住隊長が「JKデコ戦車」を肯定します。

西住みほ「戦車をこんな風にしちゃうなんて……考えられないけど、なんか楽しいね。戦車で楽しいなんて思ったの初めて」


「JKデコ戦車」は、はっきりいえば私のような戦車の見分けもつかない視聴者のために行った改造ですが、これを秋山殿に嘆かせた上で、西住隊長にとって黒森峰とは違う戦車道を発見する初期のきっかけとして肯定的に処理しています。

これで戦車の違いが認識できるようになりました。めでたしめでたし。
とはなりません。戦車のキャラクターを目一杯立てたあと、聖グロリアーナ女学院との練習試合で、旗上げてたら位置がバレるよね、という改造のデメリットによる撃破シーンを入れた上で、本大会では地味なカラーに戻しています。

しかし初期の話数から段階的な教育が施された結果、最終的には私でも地味なカラーの戦車が個別認識できるようになりました。先に書いたように私は自動車の区別もつかない人間なので、自分でも驚きました。

アニメらしい、または主人公チームらしい派手なカラーの戦車のままにしておかないのが面白いところです。

例えるなら、女の子がたくさん出てくるアニメで、ピンクやブルーなど色とりどりの髪の色でキャラクターデザインしておく。で、物語が進行して、キャラクターが立ち、視聴者に認知されたら、全員黒髪に戻すみたいな手法でしょうか。
つまり、作り手としては髪の色でなく、やっぱり人間そのもので見分けるようになって欲しい。
でも、それには視聴者へのキャラクター認知が達成できている、という自信が必要なはずです。
そうでなくては、わざわざ髪の色を分かりやすくしたあと、さらにわざわざ戻す意味がない。
私個人の体験を言えば、先に書いたようにこの試みは成功していると思います。

戦車道のルールとジャッジ


ちなみに戦車道というスポーツについても、まず校内での小規模練習試合。
その後、聖グロリアーナ女学院との5vs5の練習試合。
ここまでは、相手の戦車を全滅させた方が勝ちという分かりやすい「殲滅戦」。
その上で本大会では、1台のフラッグ車を決めて、それを撃破すれば勝ちという、駆け引きや戦略が大事になる「フラッグ戦」となっています。

公式試合では観客用の大型プロジェクタで戦場俯瞰図は出してましたね。
あれがほぼ唯一の、大会運営側が提供する情報でしょうか。

ジャッジについても白旗が出るから説明いらずですし、逆に言えばアナウンスなどがなく、あれだけが判断材料なので、見る方は着弾したときにぐっと注目して、白旗が上がるかどうかを見るんですよね。まさしくスポーツ観戦っぽく。
特にプラウダ戦や黒森峰戦のようなギリギリの決着では、白旗出るまでの演出的なタメが、審判団による映像確認や協議の末という感じでちょっと面白かったです。
(剣道モノでの、審判「一本!」「浅い!」「浅い!」のような)

もちろん時代的にも実況&解説役は視聴者に任せます、という所でもあるでしょうけどね。
実際、私ではよく分からないポイントがコメント付き動画や考察ブログで解消されたりもしています。
ただ、戦車道は戦争ではなく、架空の特殊なスポーツですからね。スポーツらしくオフィシャルによる正しい実況&解説を入れたくなる欲望はあったとは思うんですよね。
でも入れなかったのはすごいな、と個人的には思います。

もし『ガールズ&パンツァー』でひとつ、ちゃんとした記事書くとしたら、ミリタリー知識が全くないので、やっぱりこういう情報のコントロールについてになるかな、と思います。
ここに書いたことで概要は出きってますが、概要でしかないので、各話検証をしながら、全体を俯瞰する感じになるでしょうか。興味がある方はリクエストください(無いと思うので書かなくて済むと思うけど)。

『ウィッチクラフトワークス』のボンクラ☆アクティビティ


録画したままの『キルラキル』後半10話ぐらいを最終話まで一気に見ました。
後半はだいたい「セーラー服反逆同盟」というワードで説明したら何とかなる感じ。
(作品としての共通性ではなくあくまでワードから来る語感で)。
「少女コマンドーIZUMI」要素もないことないけど……いや、無いな。無いです。

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最後は地球レベル、宇宙レベルまで行ってしまうのですが、毎回、宇宙までスケールアップしていくのは脚本の中島かずきさんの特性(お約束)とTwitterで教えて頂きました。
ただ、この作品は宇宙規模までスケール上げないといけないのかな、としみじみ思ったのも確かです。

もちろん作品テンションがそれを許さないというのもあるけど、絵面(イメージ)が逆に限定されてしまう気がします。
特に最終回。ハイパーインフレでスケールアップするのは楽しいけれど、ゴールはどうしてもどこかで見た景色になってしまうかも知れないな、と感じました。

単に初期のドヤ街学園ものが好きだったということもあるでしょう。捨てゼリフで逃げて、また来る流子とか。第四話のような住民に襲われながら登校するだけの、どうでもいい単発のボンクラ話がもっとあると思っていたので。
これは私の好みによる勝手な願望にすぎませんので、作品に対する不満というわけではありません。

サタデー・ナイト・ボンクラーズ


その流れでいえば『ガールズ&パンツァー』の水島努監督による『ウィッチクラフトワークス』は、「街ひとつのスケールを舞台にしつつ、登場人物が全員ボンクラ」という楽しい作品でした。

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内なる力を持つ主人公・多華宮君を巡って、魔女たちが争い合うような作品なんですが、登場人物たちが見事に全員ボンクラ。だから、敵味方が同じ街、同じ学校で普通に同居して、生活できる。

いわゆる「海外の反応」系サイトで、この作品の感想を見た時に、海外の方が「誰か、一体誰が敵で味方で、誰と戦えばいいのか教えてくれ」と言っていて、笑ってしまいました。

確かに、主人公の自宅に異なる派閥の魔女が同居生活したり、敵対する魔女と組んで、味方である理事長(魔女)と戦ったり、暗躍する魔女とその理事長が敵対しつつも友達だったり、困惑するような状態がたくさん発生している。
敵味方を明快に分けて、敵を倒さないと物語が進行しないタイプの作品に思考が偏ると特に困惑するかも知れない。

海外の方の気持ちも分かりますが、私はこの枠組み、結構好みなんですよね。
昔、物語の「敵」について「システム」「自分」「隣人」の3つで整理することを考えていた時期があるけれど、『ウィッチクラフトワークス』はこの3つが上手く当てはまる。敵対する人たちも隣人で、一緒に暮らしていく。

ただ、敵と共生していくというのを、緊張のあるギスギスパターン以外でどう上手く処理するのがいいんだろう?と思っていたんだけど、『ウィッチクラフトワークス』は「登場人物全員をボンクラにする」ことで解決する、というパターンを教えてくれた。

『ドラゴンボール』にならないためには、舞台をペンギン村だけにして、ペンギン村の村民のみをキャラクターにすればいい、という感じだろうか。
それならば、大いなる力を秘めた孫悟空も、それを発揮することなく、ボンクラたちと楽しく暮らすだけになるかも知れない。

『キルラキル』だと、満艦飾マコが全てを無視できるボンクラでしたが、敵味方がはっきりしている作品なので、どうしても特殊なジョーカー扱いでした。
『ウィッチクラフトワークス』では全員がボンクラです。
主人公・多華宮君もそうですし、多華宮君を守る最強のチート魔女である火々里さんですらボンクラですからね。平等なボンクラワールドですよ。

だから、この作品では誰もがボンクラシーンの主役になれる。
特定のコメディリリーフとか、ひどい目に合うキャラ、バカなことをするキャラに業務委託するのではなく、画面に映るメインでもサブでも、強くても弱くても、どのキャラクターでもボンクラシーンの展開が可能になっています。

ひとりだけボンクラではない、真面目なウィークエンドさん


さて、一応敵対していて毎回バトルが発生するものの、全員アホだとアホすぎて決定的な戦争が起きない。
そのため、アニメの終盤では、根が真面目で用意周到の努力家魔女ウィークエンドさんがラスボス役として登場します。(原作はまだ連載中です)
彼女はこれまでの魔女と違いボス役をきちんと演じて、街を大危機に陥れるが、全員ボンクラなところに真面目な努力家が1人だけ混ざると、当然かわいそうなことにしかならない。

ウィークエンドさんはあえなく敗退しますが、何年もかけて作戦を準備した彼女がボンクラ共の気まぐれで敗れるさまはもはやコメディ。
1人ボンクラではないがゆえに、逆にボンクラに見えてしまうという悲劇、いや喜劇か。
全員がべろべろに酔っているパーティで、ひとりだけシラフな人間が右往左往する様がコメディであるように。

先ほどから「ボンクラ」という雑な言葉を使っていますが、バトルは毎回発生するが決定的なことを回避する、という意味で、キャラクターのボンクラさというか鷹揚さ、適当さは結構大事なことだと思っていて。

例えば、私は子供時代にケンカして別れた相手でも、次の日学校へ行くと気にせず話しかけていました。
これは私が優しく寛大な人間ということではないのです。単に昨日までの経緯を忘れていて、思わず話しかけてしまうだけなのです。
話しかけたあとで「あ、そういえばケンカしてたな」と、相手のリアクションで気づくこともありました。
つまりボンクラです。ケンカしてたなどの因縁が面倒になって、それより昨日見たTVの話がしたくなるのです。

経緯をきっちり覚えているタイプの友人からは、私きっかけで仲直りが出来るので良いとしつつも「こっちはきっちり覚えているのに、そういうB型的な適当でおおざっぱなところがイヤなんだ!」とDISられたりもしました。
B型は関係ないだろう、と思いつつも、でもこういうボンクラがいないとケンカ状態が長く続く、というのはあるんだろうな、とは思います。

ウィークエンドさんも敗北した後で、懲りずに何度でも繰り返すと宣言しておりましたが、真面目で努力家なので多分、きっちり覚えており、前回の反省を活かして、作戦をまた綿密に立てるんでしょう。
主人公・多華宮君はそれに対して、もしそうだとしても自分も何度も同じことをすると宣言していました。
でも、多華宮君はボンクラなので多分日常の中で忘れるでしょう。
許すでなく忘れる、というのは、ボンクラだからこそ発生する道です。

もちろん、包丁で刺された多華宮君と違って、私はあくまでもたわいもないケンカでの話ですが、相手を「許そう」とするのと「忘れる」というのは、結果は同じでも違いがあると思っています。
ていうか、私は単に「許さない」的な感情の維持が全然続かず、すぐに「どうでもいい」状態になるだけなんですけどね。伍子胥にはなれません。
ケンカでの怒りを忘れるのは悪いことだと思わないけど、覚えておかないといけないことも忘れるからな。
きっちり覚えたまま忘れないタイプの人は、しんどそうだけど感情の維持という意味で、すごいなと素直に思います。

……ええと、何の話をしてたんでしたっけ。(もう覚えてない)
そうそう『ウィッチクラフトワークス』は原作もアニメも楽しいので、宜しければボンクラ共のカーニバルをぜひ体験してみてください。
そして、その結果「自分にはこの作品は合わないな/楽しめないな」とあなたが思ったとしても、私は許しを請おうとは思いません。
ただ、忘れて下さい。忘却こそがこの世を平和にします。

ウィッチクラフトワークス コミック 1-6巻セット (アフタヌーンKC)ウィッチクラフトワークス コミック 1-6巻セット (アフタヌーンKC)
(2013/11/07)
水薙 竜

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